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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


「よし‼︎昼飯奢ってやっから、機嫌直せ‼︎な?」


何もなくても、
いつも先に支払いしちゃうクセに…
別に部下だからって、
毎回奢ってくれなくていいんだけどな…


「奢っていただかなくて大丈夫です‼︎」


「まぁまぁ。で、何食うー?」


黒尾さんは運転しながら、
楽しそうに魚か〜とか肉か〜とか言っている。


「中華街…」


窓の外の景色を見ていたら、
観覧車が見えてきて、
思わず口をついてしまった。


「中華街〜⁈また高く出たな(笑)?」


「えっ⁈あ、ちが…‼︎」


「中華、悪くねぇな。
北京ダッグ食いてーなー♪」


慌てて否定するけど、
黒尾さんは一気に中華モードのようで…


「よし‼︎行くかー♪」


ハンドルは黒尾さんが握っているわけで、
当然、拒否しても何しても、
車は黒尾さんの思う通りに進んでいく。


「この辺に停めて歩いて探すかー。」


運良くすんなりと、
中華街の入口近くの駐車場に車を停められて、
結局、黒尾さんと
中華街へ行くコトになってしまった。



最後にココに来たのはいつだっけ…



今日みたいに横浜方面の取引先に行く時、
岩泉さんと一緒だと、
よく中華街やみなとみらいの方でお昼を食べた。


あまりデートらしいデートは
岩泉さんとはしなかったのだけど、
平日の昼間でも観光客やカップルが多いので、
わたしはちょっとデート気分だった。


あと、たまに休みの日にドライブをすると、
夜景を見に連れてきてくれていたから、
どうしても岩泉さんを思い出してしまう。


でも、今日隣を歩いているのは、
黒尾さんで、岩泉さんではない。


わたしは頭の中から岩泉さんを追い出し、
黒尾さんとの会話に集中した。


「北京ダッグうまい店あるかなー。
檜原、知らね〜?」


「北京ダッグなら…そこの路地入った所か…
それか、ちょっと歩くけど、
向こうのほうが安くて美味しいかなぁ…」


「へぇ…詳しいんだな。」


「あ…」


やだ…何、ペラペラ喋ってるんだろ…


「何年か前にたまたま行っただけで…」


…ウソではない。


「…じゃあ、安くてうまいほうにしよーぜ。」


黒尾さんに何か突っ込まれるかと思ったけど、
黒尾さんは何も言わず、歩き始めた。

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