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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


わたし、何やってるの⁈最悪…
初めての部飲みで潰れて…
挙げ句の果てに岩泉さんに送ってもらうなんて…


「悪いの、わたしじゃないですか‼︎
本当にすみません‼︎
岩泉さんが謝らないでください!」


あまりこちらを見ない岩泉さんに
わたしが言うと、岩泉さんは、
やっと少し安心したように顔を上げた。


「つぅか、おまえ、いいのか?」


「いいって、何が…?」


「化粧。
いつも落とさなきゃって騒いでただろ?」


化粧…?あ‼︎だから、表情筋…⁈⁈


「あっ‼︎どうしよう⁈寝ちゃった‼︎」


うわぁ…最悪だぁ‼︎肌年齢が…っ‼︎
それに岩泉さんに
こんなボロボロなトコ見られて…


「ははっ…(笑)相変わらずだな。」


「…っ⁈」


岩泉さんが笑っていた…
会社で見せる笑顔ではない…
わたしが好きだった素の岩泉さんの笑顔…



何もかも知らなかったコトにして…
なかったコトにして、抱きついてしまいたい。



「その言い方、ひどーい‼︎」


でも、そんな衝動を必死で抑えながら、
わたしは敢えて明るくふざけて話した。



岩泉さんのコトなんか、もう好きじゃない。
なんとも思ってない…



「普通に言っただけだろ?」


岩泉さんは笑いながら、そう言うと、
ふぁ〜っとあくびをして立ち上がる。


「んじゃ、オレは帰るな。さっさと顔洗えよ?」


「え…?」


「なんだ?」


スーツのジャケットを着ながら、
岩泉さんが振り向く。


「あ…」

岩泉さんが行っちゃう…
もっと一緒にいたい…

「えっと…」

違う‼︎違う‼︎
岩泉さんなんか、もう好きじゃないの‼︎
なんとも思ってないの‼︎
平気な顔して、笑顔で普通に見送らなきゃ…
岩泉さんのコトなんか、なんとも思ってない…
岩泉さんにもそれがわかるように…



なのに…



「あ…朝ごはん‼︎食べていきませんか⁈」



口から出たのは、
思っていたコトとは正反対のことばだった。



「え…?」


一瞬戸惑った岩泉さんに、
わたしは畳み掛けるように続けた。


「迷惑掛けちゃったので‼︎お詫びに‼︎
簡単なものしか作れないですけど…」


「…………食う。」


暫く黙ってわたしを見つめていた岩泉さんは、
一度着たジャケットを脱いだ。

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