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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


勝手に部屋に入るのは気が引けるものの、
このまま置いて帰るわけにも行かないので、
オレは檜原んちにあがるコトに決めた。


檜原を抱き上げ、靴を脱がせて部屋に入る。
1Kのちょっと広めの部屋…。


ベッドの位置は記憶のままだった。


檜原をベッドに下ろして、上着に手を掛ける。

ジャケットの胸元に手を掛けると、
胸に触れてしまいそうになって緊張が走る。


一瞬そのまま抱き締めてしまいたくなるが、
必死におさえ、変な気を起こさないように、
急いで脱がせた。


酒が入ってたせいか、
はたまた久しぶりの檜原んちだからか、
一気に力が抜けたオレは、
そのままベッドの下に座り込んだ。


帰ってしまうべきなんだろうが、
オレが帰った後、鍵を閉めるヤツがいない。
玄関のドアには新聞受けはないし、
下の郵便受けに入れておくのも物騒だし…


はぁ…
ため息とともに顔をあげると、
何も知らずに気持ち良さそうに眠る
檜原の顔が目の前にあって、
オレは意識をそらそうと、
ぐるりと部屋を見回した。


何もかも記憶のままだったが、
ベッドカバーとテレビ台に
置いてある置物は、
オレの記憶とは違うものだった。



そりゃ変える…よな。



こいつんち来るのは…一年ぶり…か。



もう一度檜原に目をやると、
檜原はスヤスヤと寝ている。



化粧…落とさなくていーのかねぇ…



どんなに酔ってても、
化粧だけは落とさないと‼︎
1週間付けっぱなしと同じになっちゃう‼︎
と、肌荒れを気にして、
慌てていた様子を思い出してしまう。



ま…1日くらい平気だろ。



無意識に檜原のおでこに手を伸ばしてしまうと、
寝ていたはずの檜原の目が一瞬小さく開く。


やべっ‼︎


慌てて手を元に戻すと、檜原はまた目を閉じ、
気持ち良さそうに寝ていた。





マジでこのままじゃ…手ぇ出すぞ…




自制心を保つため、
オレは、檜原のベッドから一番遠い
部屋の角に行き、腕を組んで目を閉じた。








こいつは…もうオレの彼女じゃねぇ。




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