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〜Lemon Candy Story〜

第48章 -選択-(岩泉/黒尾)


岩泉さんと同じ部署になって、
新年度早々、
落ち着かない毎日を過ごしていたけど、
どうにか一週間が終わろうとしている金曜日、
その日は朝からちょっとだけ憂鬱だった。


歓迎会…という名の部の飲み会があるから。
しかも、隣の部も合同になったから、
異様に人数が多いし…


それに…


「お疲れ様です。」


「清水さん、マジいーよなー。」
「今日の飲み会って清水さん来るよな♡」


エレベーターホールですれ違ったので、
知らない隣の部の人にも挨拶はするのだけど、
お愛想の会釈すら、
されたようなされてないような…


わたしが行く意味あるんだろうか…


今のが清水さんだったら、
ものすごいいい笑顔で、挨拶返すんだろうなぁ…


別にあの人たちと仲良くなりたいとか、
男性として好きだとか…
もちろんそういうのはないのだけど、
なんだか無性に虚しくなってきてしまう。


「檜原さん!」


勝手に虚しくなって席に戻ると、
虚しくなった事の発端の
清水さんが声を掛けてくれた。


清水さんは何も悪くないんだけど…


「清水さん!どうしたの?」


「今日、上がれそう?
歓迎会、一緒に行かない?
お店の場所いまいちわからなくて…」


わからない…という清水さんが
ちょっと意外で、なんだか可愛く感じた。


「もちろん!一緒に行こう?
今日のお店、行ったことあるから、
わたし、場所わかるし。」


「よかったぁ。ありがとう。
じゃあ、更衣室で待ってるね。」


そう言って、清水さんは席へ戻っていった。


清水さんは、話せば話すほど、
イヤなコではないと実感する。
勝手に妬むようなイヤな感情を持つなんて、
わたしのほうがよっぽどイヤなヤツだ…。


仕事は無事に定時で終わり、
予定通り、清水さんとお店に向かう。


「檜原さん、バレー部だったの?」


「うん。清水さんは部活やってた?」


「わたしも高校はバレー部のマネやってたよ。」


「男バレの?」


「そうそう。」


「モテそう…」


「え?」


「清水さんがマネだったら、わたし惚れちゃうー。」


「あはは(笑)檜原さんとだったら
付き合ってもよかったかもー(笑)」


「えぇ⁈」


バレーという共通点がらあったからか、
思いの外清水さんとの会話が弾む。

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