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〜Lemon Candy Story〜

第47章 -運命-(岩泉一)


ハジメくんの言葉と視線が、
わたしに向けられ、
もうそれも最後だと思うと、
涙が溢れてきてしまい、止められなかった。


「おい⁈すみれ?どーした?」


「ご…ごめん‼︎
やっぱりお別れって、淋しくて…ダメだねぇ。
あんまりしんみりしたくなかったんだけど…」


笑顔を作ってごまかすけど、
涙は止まってくれない。


「すみれちゃん、そんなに及川さんと
別れるのが淋しいなら、一緒に東京行く?」


「黙れ、クソ川っ!!」


「いった〜‼︎もう‼︎岩ちゃんの乱暴者ー!
冗談だってば!!あ!彼女から電話だっ!」


ハジメくんに殴られた徹くんは、
逃げるように少し離れたところに行ってしまい、
ハジメくんと二人きりになってしまう。


「あ…ほんとにごめんね。
あの、この一週間すごく楽しかったから…」


「オレも楽しかった。」


「え…?」


「東京戻っても…連絡するから…」


「え…?」


「つぅか…連絡…していいか…?」


「…うん。もちろん…。」


「じゃあ、もう泣くな!」


「ハ…ハジメくん⁈」


突然ハジメくんに抱き寄せられ、
わたしはハジメくんの腕の中にいた。


この間、頭を撫でてくれた大きな手が、
今はわたしをギュッと抱き締めてくれていて、
夢なのか現実なのかわからなくなる。


「せっかく笑顔になる御守り
持ってんだから、笑っとけよ?」


そう言ったハジメくんは、
わたしの涙を自分のTシャツで、
ガシガシ拭いてくれる。


「ちょっ…ハジメくん⁈
Tシャツ汚れちゃうよ?」


「あん?じゃあ、もう泣くなよ?」


「…はい。」


「よーし。いいコだ。」


「もう‼︎子供扱いしないでー!」


「ははっ…そろそろバス来るな。」


「徹くん、まだ向こうにいるよ?」


「あん?アイツは置いてくか。」


「え?置いてかれたら、困るんだけど…」


「岩ちゃーん!バス来るよー!」


「はぁ…戻ってきちまったか…」


「「ははっ…」」


笑いながら話すハジメくんを見ていたら、
わたしもいつのまにか涙は止まり、
笑顔になっていた。


「なぁ、すみれ?」


「なぁに?」


「オマエ、彼氏いるのか?」


「え⁈い…いないよ‼︎」


「じゃあ……………」


「…っ⁈」

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