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〜Lemon Candy Story〜

第47章 -運命-(岩泉一)


*回想*
-すみれside-


「お世話になりました。」


「接客楽しかったです!」


「おう。またいつでも来いよ?」


ハジメくんたちが帰ってしまう日…
お店の前でお父さんと見送りをする。


「すみれも世話んなったな。
ほんとにありがとな。」


「…ううん。ウチのお店のほうが
かなりお世話になっちゃって…」


少しでもハジメくんの声を聞いて、
忘れないようにしたいのに、
ハジメくんを見てしまうと泣いてしまいそうで、
あまりハジメくんのほうを見ることができない。


それに、お父さんの前で泣くとか、
恥ずかしすぎるし…


「じゃ、オレらそろそろ…」


「すみれ、店いいから、
バス停まで見送り行ってやれ。」


「え…?」


涙を堪えて、最後くらいは笑顔で…
と思って、顔をあげようとしたら、
まさかのお父さんの言葉にポカンとしてしまう。


「土産のうどんもあるし、オマエが持て。」


「あ…うん…。」


お父さんに促されるまま、
結局、ハジメくんと徹くんと三人で、
バス停まで歩くコトになる。


でも、バス停なんか近いし、
すぐに着いてしまう。


一週間前に、バス停の近くで
徹くんに声を掛けられて…
一緒にいたハジメくんがカッコよくて、
ドキッとしてしまったけど、
まさかこんなに一緒にいて…
好きになっちゃうとか…
こんな短期間であり得ないよね。


ハジメくんだってきっと呆れちゃう…


そもそも、ハジメくんだって、
聞けなかったけど、
彼女いるかもしれないし…。


「バス、あと10分だな。」


「一週間あっという間だったなー。
楽しかったーー。」


「オマエはナンパしてただけだろ?」


「違うってば!!
及川さんは、ナンパしたんじゃなくて、
ナンパされてたのー!」


「同じだろ?アホが‼︎」


徹くんの何気ない言葉に、
ハジメくんのツッコミ…
話してる内容はくだらないのに、
この二人の関係の良さがなんとなく伝わる。


この居心地いい二人とも、
もうさよならなのかぁ…


「すみれ?どーした?」


わたしがずっと黙っていたからか、
ハジメくんが不意にわたしのほうを向いた。


「あ…ううん…」


「すみれ…?」

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