• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第47章 -運命-(岩泉一)


-すみれside-


「おはよう。」


「おう。待ち合わせ早すぎたか?」


「全然♪あれ?徹くんは?」


夏休み中の定休日は、
いつもなら朝寝坊しているのに、
今日はバッチリ早起きができた。


自分でも驚くくらいサラッとハジメくんを
誘っていて、昨日の夜は、
なかなか寝付けなかったのに…。


「あぁ…」


「どうしたの?」


ハジメくんはなんだか複雑な表情に…


「あいつは、昨日店に来てたコと…その…」


「あぁ!遊びに行ったの?」


「…あぁ。」


「なんでそんな言いづらそうなの?」


不思議に思って聞くと、
ハジメくんから意外なことばが返ってきた。


「オマエ、そういうの嫌がると思ったから。」


「え?」


「最初に及川が声掛けたとき、
すげぇ怒ってただろ?」


「まぁ、ナンパとか好きじゃないけど…でも…」


「でも?」


「…っ⁈」


"徹くんがいないから二人きりで嬉しい"なんて、
絶対に言えない。


「徹くんて彼女いるんじゃなかったっけ?」


「あぁ。」


慌てて話をそらしたけど、不自然だったかな…


「まぁ、徹くんもね、
悪い人でないコトはわかったし…
女のコたちに刺されないコトだけ願っとくよ。」


「あいつは一回くらい刺されときゃいーんだ。」


呆れながら言うハジメくんと笑いながら、
わたしたちの会話は途切れるコトなく、
頂上を目指して歩く。


「はぁ…疲れたねぇ。」


「まだ途中だろ?
今から疲れててどーする?」


「そしたら、
ハジメくんにおぶってもらいます(笑)!」


「バ…ッ‼︎ちゃんと歩け‼︎鍛えろ!」


「え〜?
ハジメくん、スパルタっぽいからなぁ(笑)」


近いとはいえ、一人だと長く感じる距離も、
ハジメくんと一緒だとあっという間に
頂上へ着いてしまう。


「すっげぇなぁ。
最後にこんな景色待っててこの距離なら、
ロードワークにピッタリだな。」


「あはは!
景色見てそんな感想言う人、初めて(笑)!
ハジメくんてほんとおかしい(笑)」


「…どこがおかしいんだよ?」


「ひーみつ♪」


ちょっと不満げに不思議そうにしてる
ハジメくんとくだらないコトを話す時間が
ものすごい居心地が良くて、
何度も腕を組んで近くに行きたくなるのを
わたしはグッと堪えていた。

/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp