第47章 -運命-(岩泉一)
*回想*
-すみれside-
「オレのおススメは揚げ出し豆腐♪
揚げ出しだけど、お豆腐だし、ヘルシーでしょ?
女のコでも食べやすいよー♪」
「じゃあ、それもお願いします♡」
「ありがとー♡
岩ちゃーん‼︎釜揚げと揚げ出し2つずつねー。」
「注文いいかい?」
「はーい♪って、
なんだぁ、山田のおっちゃんかぁ。
おっちゃん、今日もいつもの山菜うどん?」
「おっ!覚えてくれたのかぁ。
あと、揚げ出し豆腐な。」
「りょーかい♪
岩ちゃーん!山菜と揚げ出しー!」
すっかりお店に馴染んでる二人に
驚愕してしまう。
ハジメくんと徹くんをウチに案内して早2日。
はるばる東京からウチのうどんを
食べに来たハジメくんを
すっかり気に入ったお父さんが、
こっちにいる間、ウチでバイトしないか?
と、誘ったところ、
ハジメくんは二つ返事でOKしてくれて、
ハジメくんは厨房で、徹くんはオマケで⁈
客席を担当してもらうコトになったのだけど、
最近流行りのSNSとやらで、
"イケメンがいるうどん屋"として、
この辺で話題になったらしい。
まさかウチの店までSNSの影響を受けるとは…。
「すみれー♪」
「来てやったぞー。」
「あ、いらっしゃい。珍しいね、お昼に。」
「うん♪噂のイケメンを見にー♡」
来てくれたのは、
子どもの頃からの腐れ縁の楓と翔太。
「もう…2人まで噂に乗っかったの?」
「どれどれ?あー♡あれはヤバいね♡
超イケメンじゃーん。」
「そうか?普通だろ?」
早速席について、
徹くんをチェックしてる楓と、
少し不満そうな翔太。
「でも、わたし、厨房の人のがタイプかもー♡」
「えっ⁈」
楓が言った"厨房の人"というのは、
もちろんハジメくんのコトで…
客席で目立つのは徹くんだけど、
厨房で黙々と働いているハジメくんは、
徹くんとは違う魅力で目を惹いた。
お客さんでも、厨房を見て
キャッキャ言っている人も多い。
「すみれのお気に入りはあっちかー♡」
「か…楓っ‼︎」
「違うってば‼︎それより二人とも注文してっ‼︎」
二人に注文を促し、話を逸らして厨房に戻った。
ハジメくんが来てから、お店だけでなく、
わたしの心もなぜだか落ち着かない…。