第47章 -運命-(岩泉一)
*現代*
-すみれside-
「ほらね、及川さんのおかげでしょ?」
「ほらね…っていうか…
ただのナンパじゃないですか!
しかも、その時彼女いたんですよね?」
酔っ払いの徹くんがご機嫌で言うと、
ちえりちゃんが拗ねてしまう。
「だから、ナンパじゃないんだってー‼︎
お店聞こうとしただけじゃん!」
「ふーん。」
余計な情報だったかなとは思うけど、
ちえりちゃんも
本気で怒っているわけではなさそうで…。
恋愛が苦手だと言っていたちえりちゃんが、
徹くんに素の感情を出せているのを見ると、
わたしまで嬉しくなってくる。
「まぁ、及川がいなくても、
すみれんちは絶対行ってたしな。」
「そうだよねー。」
「でも‼︎オレがいなかったら、
ただのお客で終わってたかもしれないし‼︎」
「しつけーぞ、クソ川!!」
食い下がる徹くんに
ハジメくんは相変わらずの反応だけど、
わたしはほんのちょっとだけ、
徹くんのおかげかな…と思っている。
たしかに普通にお店に来ていたら、
わたしがいない時に来たかもしれないし、
わたしがいても、特別な会話はしなかったと思う。
徹くんのおかげ…かどうかは別として、
やっぱり運命だったのかなぁ…
ハジメくんたちの人気には
ちょっと困っちゃったけど…