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〜Lemon Candy Story〜

第47章 -運命-(岩泉一)


「クソ川ぁっ‼︎このボケがっ‼︎」
「はぁ⁈頭おかしいんじゃないの⁈」


「「…っ⁈」」


オレが怒鳴ってクソ川を殴るのと同時に、
可愛らしい声に相反する
強気なことばが聞こえて、
思わず及川とその声の主を見つめる。


「ナンパするにしても、
もう少しマシな声の掛け方あるんじゃない?
しかも、2人で?」


「いや、オレはナンパする気はねぇよ。
でも、連れが失礼なコトしたな。悪い。」


呆れた声で及川とオレに向かって言うので、
とりあえず自分のコトは否定する。


「…っ⁈別に…わたしは…」


「岩ちゃん‼︎
てか、オレだってナンパじゃないし‼︎
正直な感想言っただけじゃんかー。」


「は…?」


「あぁ、悪い。
こいつ、根っからの女好きなんだ。」


「あぁ。なんかそんな感じだね。」


目の前にいるこの女が、
可愛いのは事実なんだが…。


年はたぶん同じくらい。
でも、ちょっと幼くも見えるし、
年下かもしれない。
目がクリッとしていて、
今は怒っているが、
きっと笑ったらもっと可愛いのだろう。


まぁ、オレまでそんなコト言ったら、
余計にキレるだろうし、
そもそも、オレは、
そんなコト、口が裂けても言えねぇけど。


「ほんとにナンパじゃないんだってば‼︎
お店探してて、迷っちゃったから、
教えてもらおーと思ったの‼︎」


「お店?」


「あぁ。"檜原"ってうどん屋探してんだけど、
知らねーか?」


「"檜原"…⁈」


「知ってるのか?」


「それ、ウチ…。」


「え⁈ほんとー?
やっぱ及川さん見る目あるー♪」


いや…たまたま通りかかっただけだっつーの。


でも、店の名前に反応した時点で、
知ってるんだろうとは思ったが、
まさか自分ちだとは…。


「わたしもちょうど帰るトコだったし、
お客さんなら、案内するよ。」


「おう。助かる。」


「この辺の人じゃない…よね?」


「あぁ。東京から。」


「東京からわざわざウチに?」


及川の最初の印象が悪かったからか、
彼女はオレに向かって話し掛けてくる。


オレも若干めんどくさいので、
及川を無視して、
彼女に促されるまま歩き始めた。


「ちょっと2人とも‼︎
及川さんを置いてかないで‼︎」

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