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〜Lemon Candy Story〜

第47章 -運命-(岩泉一)


仕方なく及川を連れて、
バスを乗り継ぎ、目的地を目指す。


「ねぇ、なんで香川にしたのー?」


興味があるんだかないんだか、
スマホをいじりながら及川が聞いてくる。


「去年、遠征で広島に行ったの覚えてるか?」


「そういえば、行ったっけー。」


「あん時泊まった宿で出た
うどんがすげぇうまくて、記憶に残ってて。
で、その宿に連絡したら、
香川の店から仕入れてるって聞いたから。」


「あぁ‼︎思い出した‼︎
なんか、うどんなのに、
いつのまにか椀子そば状態になって、
皆やたらおかわりして、
金田一なんか、おなか壊してたよねー。
あ、コレコレーー♪」


いつのまにかスマホのカメラスクロールから、
その時の写メを及川が出してくる。



及川が見せてきた写メは、
大量に食べきったうどんの丼と、
満腹で寝転がってるオレら。



たった一年前のコトなのに、
写メに写る自分たちはものすごく若くて見えて、
かなり前のコトのように感じた。


「そういえば、広島の宿だったのに、
うどんは香川のお店だったんだね。」


「あぁ。宿のオーナーと
うどん屋の主人が知り合いらしくてな。」



『次は、○○…○○です。お降りの方は
ブザーを押してお知らせください。』



お…。次だ。



「及川、降りるぞ。」



オレはブザーを押して、荷物をまとめた。



「あ、待ってよ、岩ちゃん!」


「別にオマエは降りなくてもいーけどな。」


「酷いな‼︎」


とは言っても、やっぱり及川も連れて、
オレは目的地のバス停で降りる。


「ココから近いの?
もうお昼過ぎたし、さっそく食べに行こーよ。」


「近くもねぇが、まぁ、歩けなくはないな。」


広島の宿で聞いた店の名前をネットで調べたら、
意外と口コミは出ていたが、
店側はあまり宣伝をしていないらしく、
公式の情報はなかった。


まぁ、一応住所も教えてもらってるし、
どうにかなるだろうと思っていたのだが、
初めての土地で、店の看板もないと、
やはりなかなか見つからない。


「ねぇ、お店の名前はー?」


「"檜原"だ。」


「あ!すみませーん‼︎」


…⁈


店の名前を聞いてきた及川は、
次の瞬間、オレらの横を通り抜けた
女の人に声を掛けていた。


「わ♡キミ、可愛いね♡」


…はぁ⁈

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