第47章 -運命-(岩泉一)
*回想*
-岩泉side-
「…なんでオマエがいるんだ…」
飛行機の狭い通路を歩きながら、
やっと自分の席を見つけて、
席に座ろうとすると、
窓際に座っていたヤツが見覚えありすぎる…
「あっれー?ぐーぜーん♡」
「偶然なわけあるか‼︎ボケッ‼︎
なんでオレがこの飛行機に乗るのがわかった⁈」
オレの目の前にいるのは、
及…クソ川だった。
「それはー♡
やっぱり岩ちゃんへの愛だよねー♡」
「変なコト言うな‼︎」
「お客様、離陸時間ですので、
お席にお座りください。」
「…っ⁈…すみません。」
CAさんに注意され、ドスンッと席につくと、
怒られてやんのー‼︎と笑いながら、
CAさんに手を振っている
クソ川の足を思い切り踏んづけた。
「いったーい‼︎ひどいな、岩ちゃん!」
「なんでわかったんだよ?」
専門学校の夏休み中は、
世話になってる料亭で
毎日働くつもりだったが、
学校の課題のために1週間だけ、
料亭の方も休みをもらった。
"日本の名産品を知る"
日本ならどこでもいい。
一つの名産品について、
レポートをまとめるのが課題だった。
オレはこの課題を出された時、
すぐに思い浮かんだ名産品があり、
色々下調べをして宿と飛行機を取り、
久々の一人旅を楽しむつもりだった。
そのオレの計画が…‼︎
「だから、愛だってばー♡」
「もういっぺん殴られたいのか?」
及川を睨むと、
及川は降参‼︎というかのように両手を挙げ、
ムダなオーバーリアクションでこたえた。
「こないだ岩ちゃんちに行ったときに、
学校の課題と一緒に、
宿と飛行機の予約のメモが置いてあったから♪
岩ちゃん、1人じゃ寂しいかなーと思って。」
「寂しくねぇよ‼︎
つぅか、彼女とどっか行けよ‼︎」
たしか、こいつ、今はOLの彼女がいたはず。
「だってー向こうは夏休みじゃないしー。
彼女と旅行はめんどくさいしー。」
「オレはオマエと旅行のほうがめんどくさい。」
「嬉しいくせにー♡」
もう及川をツッコむのもやめて、
少しだけ寝ると、
あっという間に目的地に着いた。
"当機は予定通り、高松空港に到着しました。
皆さまご利用ありがとうございました。"
オレの目的地は香川県。
課題の名産品は…うどんだった。