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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


「ふふ…ありますよ?」


子どものような言い方をする及川さんに
思わず笑ってしまう。


「日本はシンデレラのお城だけど、
カリフォルニアとパリと香港は、
眠り姫のお城なんですよ。」


「そうなの?
じゃあ、次はパリに行きたいねー。
でも、やっぱカリフォルニアが先かなー。」


「え⁈」


「ん…♪?」


意味深な笑顔で
及川さんがわたしの顔を覗き込んでくる。



か…からかわれてる…っ‼︎
わたしと…
一緒に行きたいと思ったのかもなんて、
自惚れもいいトコだよね…。



わたしの気持ち…いつ言おう…。
すっかり言うタイミングを逃してしまった。



「うわぁ…でも、やっぱり大きいんだねぇ。」


気がついたら、人混みを抜け、
お城の広場まで来ていた。


「あ…あの…‼︎及川さんっ‼︎」
「あ、ごめん。
ちょっとココで待っててくれる?」


「え…?」


わたしが一大決心をして
及川さんに話し掛けると、
及川さんは、
わたしのことばとほぼ同時に口を開き、
そばにあったベンチにわたしを座らせた。


「すぐ戻るから、ナンパされないでね?」


「さ…されません‼︎」


軽口を叩きながら、
及川さんは行ってしまう。



いつ言おう…
どんなことばで伝えよう…



及川さんのコトを考えて待ちながら、
わたしは目の前を通る人たちを見ていた。



花巻さんの言っていた通り、
プリンセスのイベント中だからか、
小さいコはプリンセスのドレスを着ているし、
大人が被っている帽子やカチューシャも
プリンセスみたいで可愛かった。



皆、明るくて幸せそう。
夢の国だから、余計にそう見えるのかな。



「おまたせ、眠り姫♡」


「え…⁈」


突然目の前に人影が現れたと思ったら、
頭に何かを乗せられている。


「及川さん⁈」


わたしの目の前に現れたのは及川さんで、
及川さんは、王子様のタスキのような…
たしか、大綬だっけ…?
それを肩から掛けている。


「あ…あの…何して…⁈」


ビックリして、思わず頭を触ると、
少し小さくて硬い感触がする。


これ…⁈


「ティアラだよ。眠り姫の♪」


そう…通り過ぎる人を見ていた時、
一番可愛いなと思ったのは、
プリンセスのティアラだった。


さすがにもう年だし、
似合わない…そう思ってたんだけど…

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