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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


土曜日の朝、
結局意味はわからなかったけど、
及川さんの指示通り、
動きやすい格好でわたしは駅に向かった。



赤のネルシャツにブラックデニム。
足元は黒のスニーカー。



こんなカジュアルでいいのかな…
及川さんちに行った時の服装と似ていて
変わりばえがしないのが気になるけど、
動きやすい格好って言われたし…



駅が近づいてきて、
心臓がドキドキしているのが、
すごくよくわかる。



早く会いたいけど…怖い。
及川さんになんて言えばいいんだろう…。


駅前に及川さんがいないか、
キョロキョロ探してみるけど、
及川さんらしき人はいない。



プップー


…?


クラクションの音に振り向くと、
どうやら、ロータリーに停まっていた
黒のSUVがクラクションの主のようだった。


恐る恐る近づきながらジッと見ていると、
車の窓が開き、中には笑顔の及川さんがいた。



「おはよう。」


「お…おはよう…ございます。」



あの時以来見る及川さんの姿に、
それ以上何も言えないでいると、
いつのまにか及川さんは車から降りてきて、
わたしの目の前に立っていた。


「来てくれてありがとう。」


「わ…わたしのほうこそ…」


ありがとうございます…
そう続けようとして、
及川さんをしっかり見た瞬間、
思わずことばに詰まってしまった。



及川さんと二人で顔を見合わす。



「「あはは…‼︎」」


二人同時に笑い出してしまったのは、
わたしたちの格好がそっくりだったから。


及川さんは、
黒のネルシャツにブラックデニム。
スニーカーも黒。


しかも、よく見たら、
スニーカーのブランドまで同じ(笑)


「ペアルックみたいだね。」


「ペアルックじゃないです‼︎」


及川さんが嬉しそうに言うので、
わたしはまた真っ赤になって否定してしまう。


ダメだ…もっと素直になろうと思ってたのに…


「じゃ、乗って?」


及川さんがドアを開けてくれる。


「あの、でも、わたし着替えに…」


「なんで?」


「だって、さすがにペアルックみたいなのは…」


「えー?いいじゃない♪
そんなの気にならないトコに行くし。」


「え?」


「ほら、早くー♪」


結局そのまま車に乗せられ、
どこに行くのかわからないまま、
及川さんは車を走らせた。

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