第46章 -運命-(及川徹)[完結編]
ただ、前向きになったとはいえ、
どう行動していいのかわからないのは、
相変わらずで…。
そもそも、返事をしていないとはいえ、
告白して逃げ出されたら、
フラれたと思うはず。
一緒に仕事をしていても、
こういう時に限って、
今は青西建設からの返事待ちのため、
こちらから連絡する用事もない。
ひろみさんのトコロに行った時は、
あんなに前向きになれたのに、
あの後も結局、
及川さんに連絡できないまま…。
こんな自分がイヤになる。
仕事中はなるべく及川さんのコトは
考えないようにしてたけど、
今はお昼休み…。
フリースペースでコーヒー片手に
わたしはスマホと睨めっこして、
及川さんのことばかり考えていた。
ブーッ
急に持っていたスマホのバイブが振動し、
LIN○の受信が表示される…。
及川さん⁈
思わず甘い期待をして、LIN○を開くと、
メッセージはひろみさんからだった。
"春人と勉強してたらね、
偶然こんなコト書いてくれて…。
すみれちゃんにピッタリかなと思ったので、
春人からもパワーを送ります♡"
…っ⁈
一緒に送られてきたのは、
春人くんが書いた文字の写メ。
まだ幼稚園なのに、とっても上手な字で、
"がんばればいける"
と書いてあった。
春人くんの無邪気な笑顔を思い出す。
大人になってからは、
色々ごちゃごちゃ考えていたけど、
シンプルに…ただ頑張ればいいんだよね。
ひろみさんと春人くんに背中を押されて、
わたしはやっと、
昨日からずっと考えていた文章を
及川さんに送った。
"昨日は急に帰ってしまってごめんなさい。
約束もすっぽかしてしまってごめんなさい。
もう一度だけ会えませんか?"
普段はあまりLIN○の返信に執着しないのに、
昼休みが終わっても、
返事がきてないか、仕事の合間を縫って、
ついチェックしてしまう。
でも、そんな日に限って返信はきていなくて…
そうこうしてるうちに仕事がバタバタしてきて、
次にスマホを見たのは、帰る直前の20時過ぎ。
及川さんから返信がきていて、
また心臓がバクバクしてくるけど、
わたしは急いでLIN○を見た。
"土曜日空いてる?
朝8時に檜原さんの家の駅で待ってる。
動きやすい格好で来て。"