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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


「あいつはふざけてるように見えるけど、
いつだって目の前のコトに
真剣に向き合ってるヤツだ。」


「岩泉さん…」


岩泉さんのことばを聞いてハッとする。


まっつんさんも花巻さんも…
ひろみさんも岩泉さんも…
からかうように及川さんを貶すけど、
及川さんのコトを悪く言う人は、
一人もいなかった。


わたしも…色んなコトが不安だったけど、
及川さんのコト…悪い人だなんて思ってない。


「そんなコトより食べてくれねーか?」


「うわぁ…美味しそう。」


岩泉さんに促され、お箸を手に取る。


"岩泉"定番の締めのおうどんとは違って、
一人用のお鍋で、
おうどんはもちろん、
一人分にしてはもったいないくらい
具材の種類がたっぷりだった。


「いただきます。…‼︎美味しいっ‼︎」


感想を伝えながら、食べていたのに、
気がついたら、あっという間に完食していた。


「ほんとに美味しかったです‼︎
ご馳走様でした!」


「いや、こっちも感想聞けて助かった。」


「ほんとね。ありがとう、すみれちゃん。」


「とんでもないです。
わたしの話まで聞いていただいちゃって…」


「つぅか、なんで及川なんかの話してたんだ?」


「「え?!」」


お茶を入れてくれていたひろみさんと、
思わず顔を見合わせてしまう。


「ハジメくん、わかってないで、
さっき徹くんのコト褒めたの⁈」


「あん?及川のコトなんか褒めてねーよ。」


岩泉さんはほんとに話の流れに
気付いていないようで、
ひろみさんとわたしの顔を怪訝そうに見ている。


「…ふふ。そうですね。」


岩泉さんのことばに
わたしは思わず笑ってしまった。


岩泉さんたちのことばは、
無理に褒めたんじゃなくて…
当たり前のコトなんだ…


「あの…ありがとうございました。
わたしも…自分の気持ちに
正直になろうと思います。」


「…すみれちゃん!」


「何を今更…って
なっちゃうかもしれないけど…」


「あ!また後ろ向きー!ダメよ?自信持って。」


「あん?だから、なんだよ?」


「もー‼︎ハジメくんはいーの‼︎」


明るくて仲の良い二人に背中を押され、
わたしはやっと自分に正直に…
前向きになれた気がした。


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