第8章 -迷子-(花巻貴大)**
…?
わたしは立ち止まった
花巻先輩を見上げ、
花巻先輩の次のことばを待った。
「こういうのもなんかいいよな。」
「えっ⁈」
赤面したのが自分でもわかる。
ズルいよ花巻先輩…。
「よし!オレがじーちゃんよりも
たくさん取ってやるからな。」
そう言って花巻先輩は、
わたしの頭をポンポンとした。
「あ…っ。えっ⁈あ…」
「おっちゃーん!1かーい!
すみれ!コレ持ってろ!」
テンパってるわたしに
ベビーカステラを渡してから、
花巻先輩はポイを受け取り、
しゃがみ込んで、
スーパーボールすくいを始めた。
でも…
結果は…5回挑戦して、
最後にやっと1つ取れた。
「くっそー。
あとちょっとでいつも破れる!」
花巻先輩は相当悔しかったようで、
あとでもう1回やるか…って、
1人でブツブツ言いながら歩いていた。
負けず嫌いだなぁ。
でも、そんな花巻先輩が好き…
なんだよなぁ。
「すみれのじーちゃんには
まだまだかなわなかったなー。
でも、やる!」
花巻先輩はそう言って、
スーパーボールをわたしにくれた。
キラキラした
淡いピンクのスーパーボールだった。
「いいんですか⁈」
「あぁ。
つか、すみれのためにやったんだし。」
…ドキッ。
「あ…ありがとうございます。」
わたしはきっと真っ赤になってる。
暗いからバレてないと思うけど…
ちゃんと笑顔でお礼言えたかな…。
わたしは嬉しさと恥ずかしさで、
花巻先輩がくれた
キラキラしたスーパーボールを
星空にかざして眺めていた。
「よし!じゃ、次、何する?」
花巻先輩が突然、
とんでもないことを言い出した。
「え⁈
皆と合流しなくていいんですか?」
2人きりは…嬉しいけど…。
「ん?人数多いし、
オレら2人くらいいなくたって、
どーってことないだろ。
それともなに?」
「え…?」
「オレと2人じゃイヤ?」
「…っ⁈」
な…なんか今日の花巻先輩、変‼︎
絶対変だっ‼︎
これじゃまるでわたしのコト……⁈
〜♪〜♪〜♪
「あ…っ!国見くん…?」
2人の間の沈黙を破るように
わたしのスマホが鳴った。
掛けてきたのは後輩の国見くんだった。