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〜Lemon Candy Story〜

第8章 -迷子-(花巻貴大)**


あ…スーパーボールすくい…
懐かしいなぁ…


思わず足を止めてしまい、
ボーッと眺めてしまった。


青城バレー部皆で夏祭り…
久しぶりに部活以外で皆で…


あれ⁈


「ウソ…皆…いない?」


やば…はぐれた?


辺りを見渡しても人がたくさんいて、
皆がどこにいるかなんて
ちっともわからなかった。


「どぉしよう…コレって迷子⁈」


「奇遇だなー♪オレもー。」


「きゃあっ。」


「おいっ!”きゃあっ”ってなんだよ?
失礼だなー。」


「花巻先輩っ⁈」


皆とはぐれ、途方に暮れていると、
なんと横に花巻先輩が現れた。


「花巻先輩、どうして…?」


まさかわたしを探し…


「ココの祭りさ、
毎年クリーム入った
ベビーカステラ売ってんの♪
知ってる?」


…てたわけないか。


花巻先輩はわたしに
ベビーカステラを一つくれた。


「美味しいっ!」


一口で食べると、
甘くてなかなか美味しかった。


「だろ?せっかく見つけたから、
買ってくるっつったのに、
あいつら、置いてくんだもんなー。
ったく…勝手だよな?」


うーん?
なんかちょっと違うような…。


「つか、お前は何してたの?」


わたしが苦笑いして答えないでいると、
花巻先輩に聞かれてしまった。


「あ…えっと…」


スーパーボールすくいが懐かしくて、
見てた…なんてちょっと言いづらい。


「アレ?好きなの?」


わたしの視線の先を見て気付いたのか、
花巻先輩はスーパーボールすくいを
指差して言った。


わたしってわかりやすいのかな。
バレてしまったならしかたない。


「はい。小さい頃、
おじいちゃんがよくやってくれて…
わたしがやるといつも取れないのに、
おじいちゃんは
いつもたくさん取ってくれるんです。
キラキラして宝石みたいで…」


そのおじいちゃんは、
去年天国に旅立ってしまった。


「よし!やるか!」


「えっ⁈」


おじいちゃんのコトを思い出して
わたしが黙ってしまっていると、
突然花巻先輩がわたしの手を引き、
スーパーボールすくいの出店のほうへ
歩き出した。


「花巻先輩⁈あの…誰かに連絡して、
今いる場所聞かないと…」


「そんなの別に後でいいだろ。
それに…」


花巻先輩は急に立ち止まり、
わたしのほうを振り返って言った。

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