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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


すべてを話し終えると、
ずっと黙って話を聞いてくれていたひろみさんが
ゆっくり口を開いた。


「すみれちゃんは徹くんのコト、
どう思ってるの?
すみれちゃんは徹くんのコト…好き?」


「え…?」


たしかに…
わたしは話の中で一度も及川さんを好きとは、
言わなかった。


でも、ひろみさんに嘘はつきたくない。


「好き…です…」


及川さんに告白するわけではなく、
ひろみさんに自分の気持ちを言うだけなのに、
それだけで真っ赤になってしまって、
恥ずかしい。


「…‼︎それなら、素直に
気持ちを伝えていいんじゃないかな?
徹くんと同じ気持ちってコトでしょ?」


「でも…さっきも言った通り、
及川さんは好きな人がいるんです。
その人には彼氏ができちゃったけど…
それに、及川さんの好みの女性とわたしは
かけ離れてるし、なんでわたしなんか…」


「すみれちゃん…」


素直に気持ちを伝えたい…
そう思う反面、
マイナス要素がたくさん浮かんできてしまう。


「すみません、中学生じゃあるまいし…。
恋愛とかそういうの…苦手で…。」


「苦手でもなんでも、
すみれちゃんが徹くんを好きって気持ちは、
確かなんでしょう?」


「…はい。」


日に日にわたしの中で大きくなっていく
及川さんの存在は、好きってことば以外、
言い表しようがなかった。


「徹くんはたしかに
何考えてるかわからないトコもあるし、
軽い感じするし、女のコ好きだし、
チャラチャラしてるし…」


「あの…ひろみさん…??」


なぜだかひろみさんのことばには、
やたら力が入っている…。


「でも、人の気持ちをもて遊ぶようなコトは
絶対しない人よ。」


「ひろみさん…」


ガラッ…


「ま…そうだな。」


「岩泉さん⁈」


突然襖が開いたと思ったら、
お料理を持った岩泉さんが入ってきた。


「もー‼︎ハジメくん、立ち聞きー?
ノックくらいしなさいよー?」


「ひろの声が大きいからだろ?」


ひろみさんが可愛く怒るけど、
岩泉さんは気にも留めないようで、
わたしの前にお料理を置いてくれる。


「クソ川は、まぁ普段クソ川なんだが…」


岩泉さん…
これから、わたし、お食事いただくんですが…


とは言えず、岩泉さんのことばの続きを待つ。

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