第46章 -運命-(及川徹)[完結編]
コーヒーを持って戻ると、
檜原さんは、サンプルを用意していて、
準備万端だった。
「お待たせしました。ミルクと砂糖使います?」
「いえ。ブラックで。ありがとうございます。」
つぅか…オレ…
檜原さん、どっかで見たコトあるかも…
NEKOMAに行った時か?いや…違うな…
「早速なんですが…」
「あ‼︎はい…」
やべ…つい考え込んじった。
「夜久が用意したこちらのサンプルですが…」
余計なコトは考えずに、檜原さんの話を聞く。
すげぇわかりやすい。
自分の担当じゃないのに、よくここまで…。
「以上が△△なのですが、
何かご質問ありますか?」
「あ、ココだけ。これは…」
「あぁ!それは、××なので…」
気になったコトを聞いても
檜原さんは、完璧に答えてくれる。
「あぁ!それなら納得です!
ありがとうございます!
檜原さんの説明、
すごいわかりやすくて助かりました!」
「いえ。説明については、夜久から
しっかりレクチャー受けてきましたので。
××についても、たぶん花巻さんは、
突っ込んで聞いてくると思います…って。」
「あはは…見越されてたか。さすが夜久さん!
うん!コレに決めて進めようと思います!
上に決裁取って改めてご連絡しますね。」
「ありがとうございます!
夜久にも伝えておきます。」
まるで自分の案件が決まったように
檜原さんは嬉しそうだった。
「そういえば、檜原さん、
元々ほかのヤツにアポあったんですよね?
呼んできましょうか?」
たしか17時アポだったか?
17時まではあと15分あるし、ちょうどいいか。
「あ…すみません。助かります。
えっと、営業部第1課の及川さんを…」
「及川⁈」
「え…?」
思わず大きい声を出してしまうと、
檜原さんはポカンとしている。
やべっ…
「あ、すみません!及川、同期なんです。」
「…っ⁈…そうなんですね。」
「あいつが担当だと大変ですよね?
ご迷惑お掛けしてません?」
「い、いえ…。仕事はとても丁寧ですので。」
ん?
「仕事…"は"、丁寧なんですか?」
「えっ⁈あ…あの…そうじゃなくて‼︎」