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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


水曜日、どうにか朝から
やり過ごしていたけど、
それでもやっと昼休みが終わっただけ…。
夕方まではまだ時間はたっぷりある。



やっぱりどうしても落ち着かない。



仕事で会うだけなのに…
あ、でも仕事の後は…




「え⁈今日これからですか⁈」


…?


わたしが1人ソワソワしていると、
誰かが電話に向かって
大きな声で話すのが聞こえた。
声のするほうを見ると、声の主は夜久くん。
電話で大きな声を出すなんて、珍しいな。


「夜久くん、どうしたの?」


同じように隣で夜久くんを見ていた
黒尾くんに声を掛ける。


「青西の花巻さんに急ぎで
サンプル持ってきてほしいって、
言われてるみたいなんすけど…。」


「サンプルできてるの?」


「はい。でも、やっくん、
今日、これから仙台出張で。」


そういえば、昨日、皆で、
お土産は荻の月を指定したっけ…
(荻の月、実は高いのだけど…)


わたしは、夜久くんの席に行き、
"サンプル持ってくよ?
わたし、青西に17時アポで行くの。"
とメモに書いて、夜久くんに見せた。


「マジっすか⁈」


「シーッ!」


わたしはウンウンと頷きながら、
大きな夜久くんの声を制した。


「あ、いえ!すみません‼︎
今日、ウチの檜原が御社に行く予定なので、
檜原にサンプル預けます!
はい…じゃあ、16時半で。
ほんとにすみませんでした!
よろしくお願いします!」


電話を切った夜久くんは、
キラキラした目でわたしを見ていた。


「檜原さん、ほんとすみません‼︎
助かりますっ‼︎」


「いいのよ。持っていくだけでしょ?」


「やっくん、檜原さんには牛タンも追加だな。」


笑いながら黒尾くんがチャチャを入れる。


「えぇ⁈」


「あら?楽しみねー。」


「あ…やっ…買ってきますっ‼︎」


夜久くんはやっぱり真面目だなぁ。


「大丈夫よ。それよりサンプルは?
一応中身説明してくれる?」


わたしはクスクス笑いながら、
夜久くんからサンプルの説明をしてもらった。




少しだけ…
及川さんに早く会えるかも…





そう期待してしまう自分の気持ちを、
わたしはだんだん
誤魔化せなくなってきていた。


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