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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


映画が始まると、
さすがの及川さんも顔はあげてくれた。


でも…膝掛けはそのまま。


温かい膝掛けの中に
及川さんの温もりがあると思うと、
余計意識し過ぎてしまう。


少し手をずらせば、
及川さんの手に触れるコトができる。


カウンターに並んで座った時よりも
及川さんが近くにいて、暗がりの中でも、
たまにスクリーンの明かりに照らされる
綺麗な横顔が横目に入ってきて…


って、ほんとにわたし…⁈



変なコト考えてないで、映画に集中しなきゃ…



意識的に映画に集中していたのだけど、
いつのまにか、
自然に映画の世界に引き込まれていき、
あんなに意識していた及川さんではなく、
スクリーンの中の王子様とお姫様から
目が離せなくなっていき、
今回は眠ってしまうコトなく、
エンディングまで見るコトができた。


エンドロールも観る派のわたしは、
そのまま観ていたかったけど、
及川さんはどうだろう…と思い、
ふと及川さんのほうを向くと、
及川さんもわたしのほうを見ていて、
バッチリ目が合う…どころか、
キスしてしまいそうなくらいに顔が近い。


「今日は眠り姫にならなかったんだね。」


「…っ⁈」


慌てて顔をスクリーンへ戻すと、
今度は肩へ重みを感じた。


「…っ⁈及川さんっ⁈」


「肩貸して?明るくなるまででいいから。」


上目遣いでわたしを見た及川さんは、
膝掛けを少し上にあげて、
コテンとわたしの肩に頭を預けた。


「ちょっ…」


「シーッ♪さっきも言ったでしょ?
まだみんな観てるんだから。」


「で…でも、近くに人いないし‼︎」


「じゃあ、尚更いいじゃない。」


「よ…よくな…」


及川さんはそのまま目を閉じてしまった。


は…恥ずかしすぎる‼︎


でも、もしかして、
今日はわたしを待ってて遅くなったし、
わたしのせいで、及川さん眠いのかも…


そう思うと邪険にできない。


「檜原さん待ってたから眠いんじゃなくて、
おままごとの続きだよ。
可愛い子どもに甘えちゃう
イケメンパパってトコかな♪」


「何言って…⁈」


及川さんにはかなわない。
きっと、わたしが気にしないように
言ってくれてるんだ…


わたしはそれ以上抵抗できなくて、
心臓をバクバクさせたまま、
ひたすらエンドロールの文字を目で追った。

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