第46章 -運命-(及川徹)[完結編]
「ね、明日休みだよね?」
だんだん落ち着いてきて味がわかってきた
ピザやオムレツを食べ終えると、
及川さんがおもむろに聞いてきた。
「…?はい。」
「明日、予定ある?」
「いえ…。」
及川さんと会った翌日だし、
ゆっくりしようと思ってたから、
明日は特に予定は入れていない。
「じゃあさ、今から映画デートしよ♪」
「え⁈でも、今からやってる映画なんて…」
「金曜日はけっこう遅くまでやってるよ。
ほら♪六本木の映画館なら、26:10から♪」
及川さんが見せてくれたスマホの画面には、
たしかに26:10からの回が…。
「席だけ予約しとけば、
ギリギリに行っても平気だし。」
「え…?でも…」
「すみれちゃんも終電ないでしょ?」
「…っ⁈それは…」
終電のコト…忘れてた‼︎
てゆぅか、今、"すみれちゃん"はズルい‼︎
「だったら、このまま映画デートしちゃおうよ♪
映画終わったら、始発動いてるでしょ?」
「…。」
どうしよう…たしかに終電は…ない。
でも、いくら映画でも…
また一晩及川さんと一緒なんて…
「これから及川さんちに行って
楽しいコトするのと、
六本木に行って映画観るの、どっちがいい?」
「え⁈…映画‼︎」
「じゃ、映画予約しちゃうね♪」
「あ…。」
またやってしまった…
及川さんのこの言い方にノセられてしまうの、
もう何回目だろう。
「あれ?及川さんちで
楽しいコトするほうがよかった?」
及川さんはスマホを触りながら、
顔をあげて視線をわたしに移した。
「そんなコト言ってませんっ‼︎」
「え〜?でもさ、"楽しいコト"って、
檜原さんは何を想像してるの?
"楽しいコト"ってさ、ウノかもしれないし、
トランプかもしれないしー。」
「な…っ⁈」
「すみれちゃんはどんな"楽しいコト"、
想像しちゃったのかな?」
及川さんはあのフフンとした
笑みを浮かべながら、わたしの耳元で囁いた。
「〜っ‼︎及川さんっ‼︎」
「そんな怒んないでってば〜。
ほら、コーヒー飲んで、落ち着いて?」
いつのまにか及川さんが
コーヒーを頼んでいたようで、
真っ赤になって怒ってしまったわたしは、
結局及川さんになだめすかされていた。