• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


「ふふ。ありがとう。
でも、紳士なら、わたしにじゃなくて
彼女に紳士になりなさい?
金曜日なんだし、
ほんとはデートじゃなかったの?」


「…‼︎いや…まぁ…。」


ハッとしたようにする黒尾くんを見ても、
今は全然平気だった。


「ね?ほら、早くあがって連絡してあげたら?
わたしは大丈夫だから。」


「……檜原さんも
ほんとに早くあがってくださいよ?」


「はぁい。じゃ、お疲れさま。
今度ちゃんと彼女の写メ見せてね(笑)」


「え⁈あ…いや。お疲れさまですっ‼︎」


黒尾くんて大人っぽいけど、
なんか、からかいがいあるんだよなぁ。


大人っぽい黒尾くんが
ふと見せる子どものような表情が好きだった。


こんなわたしのコトも、
ちゃんと女扱いしてくれる
さりげない優しさが好きだった。



でも…全部…ほんとに過去形…。




過去形にできるくらい
いつのまにか黒尾くんのコトを
吹っ切れていた。




代わりに頭に浮かぶのは…





…‼︎



慌てて頭を切り替える。
今はちゃんと仕事しなきゃ…。


本当は、まだメールは送れないんだから…。


黒尾くんが帰ってから作業を続け、
漸く資料が出来上がり、
わたしは先に片付けをしてから、嫌味かのように
最後の最後に佐武さんにメールを送った。




時計を見ると、もう23時…。
はぁ…疲れた。




黒尾くんは待とうとしてくれていたけど、
最終退室なんて慣れちゃったから、
一人で全然平気なのに…。



最終チェックをして、バッグを持って、
電気を消して、会社を出る。



バッグの中に入れたスマホはまだ見ていない。
及川さんから、連絡が来てても…
来ていなくても…どっちも怖いから。


「はぁ…」


「お疲れさま。」


「…⁈」


鍵を閉めてクルリと駅のほうを向いた瞬間、
ガードレールに腰掛けている人に
突然声を掛けられた。



街灯に照らされている顔を
思わず見つめてしまう。




ううん…




顔なんて見なくても声でわかる。







ウソ…?なんで…?



















なんで…?











なんで、ココにいるの…?




/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp