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〜Lemon Candy Story〜

第46章 -運命-(及川徹)[完結編]


急いで資料を作り始めたけど、
いつも丸一日かけて作っている資料は、
定時が近づいても終わる気配がなかった。



時計を見ると、17時20分…
及川さんの会社の定時はたしか17時半…



タイムリミット…だな。



"お疲れ様です。
仕事がどうしても終わらなくて、
今日キャンセルさせてください。
こんなギリギリに本当にごめんなさい。"



わたしはフリースペースに移動して、
及川さんにLIN◯を送った。


ドタキャンなんて…最低すぎる…


いくら及川さんだって、
わたしが嫌がってると思うよね…


イヤな女だと思われただろうな…


でも、これでよかったのかもしれない。
きっと、今度こそプライベートで
及川さんと会うコトもなくなる…



ほんとにもう…及川さんとは…



「…檜原さん?」


「及川さ…」


「…檜原さーん?」


「…っ⁈」


名前を呼ばれてハッと顔をあげると、
目の前に黒尾くんの顔が現れ、
思わず後ずさってしまう。


「黒尾くん⁈…どうしたの⁈」


「いや、"どうしたの?"って、
檜原さん、なんか様子おかしいから。」


「え?」


「スマホ見てフリーズしてるし。」


「え?してない、してない…(笑)」


笑ってごまかすけど、
黒尾くんの追求は止まらない。


「それに今…"及川さん"て…?」


「…⁈」


わたし、無意識に口に出て…⁈


「…。」


黒尾くんはわたしをジッと見たまま
何も言わない。どうしよう…


「あ…違うの。さっき、佐武さんに
資料作成、無茶振りされちゃって、
今日はそっちで残業になっちゃうから…。
本当は、及川さんの依頼を
今日中に終わらせるつもりだったから、
予定狂ってテンパっちゃって…」


「…へぇ。でも、檜原さんがテンパるなんて、
珍しいっすね。」


「そんなコトないって。」


ごまかせた…かな。


「てか、なんか手伝います?
及川さんのほうとかオレ手伝えるかもだし…」


「ありがとう。でも、大丈夫よ。
及川さんのほうは、
タイムリミットまだ先なの。
ほらほら、戻るよー。仕事仕事‼︎」


わたしは黒尾くんの背中を押して、
フリースペースを後にした。




ほんとは、タイムリミットどころか、
ジ・エンドだよ…




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