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〜Lemon Candy Story〜

第45章 -運命-(及川徹)[後編]


手を滑らせてしまい、
アイスクリームカップを
ひっくり返してしまった。


自分のほうにひっくり返してしまったので、
汚れたのが、わたしのシャツだけなのが、
せめてもの救い。


「すみれちゃん、大丈夫⁈」


ひろみさんが慌ててウェットティッシュを
差し出してくれる。


「大丈夫ですよ。
すみません、ビックリさせちゃって。
春人くん、起きちゃってないですか?」


「こっちは大丈夫だから、気にすんな。
それより、派手にやったなぁ…」


たしかに…。
胸元にタラ〜ッとたれてしまったのは、
わたしが食べた濃厚チョコレートアイス…。


ウェットティッシュじゃ間に合わない。


家に帰ってシミ抜きしても、
これは落ちないだろうなぁ。


「檜原さん、早く脱いで?」


「え…?」


ウェットティッシュを何枚も出して、
シャツを拭いていると、
及川さんがわたしの手を引いて
声を掛けてくる。


「だから、早く脱いでってば。」


「な…何言って⁈」


い…いきなりなんなの⁈


「はぁ…いいから。ほら、おいで?」


「ちょっ…」


及川さんに手を引かれ、
そのままバスルームに連れていかれる。


「すぐ洗ってシミ抜きすれば、
シミにならないよ。」


「…‼︎」


脱いでって…そういうコト⁈


「オレの前で脱いでくれるの?
それとも、オレに脱がされたかった?」


「…っ⁈」


及川さんがまた耳元で囁いてくる。


及川さんは、わたしが耳元が弱いコトに
気付いているのだろうか?



トントン…



「徹くん?すみれちゃん、大丈夫?」


「は…はい‼︎」


ドアの外からひろみさんに声を掛けられ、
わたしは慌てて
及川さんから離れてドアを開けた。


「ごめんね。お店の時間があるから、
そろそろ帰ろうと思って…。」


「あ…じゃあ、わたしも…」


「すみれちゃん、
シャツ洗ってから帰ったほうがいいわよ。
それ、跡残っちゃう…」


「でも…」


「乾燥機もあるから、すぐ乾くよ。」


「はい…すみません…」


結局、ひろみさんたちを玄関で見送って、
わたしはまた及川さんと
二人きりになってしまった。


「洗ってる間、コレ着てて?」


及川さんは部屋から持ってきた
シャツをわたしに手渡してくれた。

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