第45章 -運命-(及川徹)[後編]
アイスクリームを食べてからは、
皆ちょっとまったりモードで、
わたしは春人くんが持ってきた
車のシール絵本を
春人くんと一緒にやっていた。
「この車はかわいいから、
すーちゃんが貼っていいよ〜!」
「ほんと〜?ありがとーう‼︎」
「ボクはこっちのカッコいい車‼︎」
「それは、ココだね〜。」
二人で熱中してしまい、いつのまにか
春人くんはわたしの膝の上にいた。
「春人、すっかり檜原さんに懐いたな〜。
今日、全然オレのトコ来ねぇべ。」
「ほんとね♪楽ちん〜(笑)」
「……。」
「すーちゃ〜ん…」
「春人くん?どしたの?」
さっきまで楽しそうにシールを貼っていた
春人くんの動きが急にペースダウンして、
クルッとわたしのほうを向いて、
抱きついてきた。
「…ねむい〜。」
「春人!眠いならこっちおいで?
春人が寝ちゃったら、
すみれちゃんが大変でしょ?」
ひろみさんが慌てて
春人くんを抱き上げようとするけど、
時既に遅し…
「一瞬で寝ちゃいました。」
「あちゃ〜。最近、お昼寝しなくなったのに…」
「朝からテンション高かったからな〜。」
「向こうの寝室で寝かそうか?」
及川さんがそう言うと、
岩泉さんが立ち上がって、わたしの元へ来た。
「いや、そろそろ帰るわ。店もあるし。
檜原さん、わりぃな。」
そう言った岩泉さんは、
わたしに抱きついて眠っている春人くんを
軽々と抱き上げた。
お店でしか見たコトなかったけど、
岩泉さんもやっぱりパパなんだなぁ。
「すみれちゃん、ごめんね。
ずっと春人の相手してくれてありがとね。」
「全然大丈夫ですよ。
春人くん、可愛かったし、むしろ、
わたしが遊んでもらってるみたいで…」
春人くんが寝ているので、
ひろみさんと小さな声で話す。
「あ、テーブル片付けなきゃ…」
「ひろちゃん、大丈夫だよ。」
テーブルに残ったものを
ひろみさんがまとめようとすると、
その手を及川さんが止めた。
「ひろみさん、わたしがやりますよ。」
そう言って、アイスクリームのカップを
まとめて立ち上がった…
まではよかったのだけど…
ベシャッ…
ウソ…⁈