第45章 -運命-(及川徹)[後編]
ピンポーーーン♪
「あ、岩ちゃんたちかな♪」
材料も切り終えて、ひと段落した時に
ちょうど岩ちゃんたちが来た。
さすが、岩ちゃん!グッドタイミング♪
「はーい☆」
マンションの入り口のオートロックの
インターフォンの画面いっぱいに、
岩泉ファミリーの顔が映っていた。
「クソ川、早く開けろ‼︎」
「徹くん、おそーい‼︎」
「くそかわとおるくんだったの?」
「ちょっ‼︎あのね〜⁉︎今、開けるから…。
エレベーター出て右だからね!」
「「「はーい。」」」
岩ちゃんがあんなだから、
ひろちゃんと春人くんまで
岩ちゃんに似てきちゃったじゃんか‼︎
「もう…」
インターフォンを切ると
思わずため息が出てしまう。
「ふふ…仲良いんですね。」
「…っ⁈」
檜原さんが後ろから来て、
今日初めてリラックスしたように笑っていた。
彼女の笑顔を見れたのは嬉しいけど…。
「仲良いんだか悪いんだかね〜。」
「でも、岩泉さんと話してる時の及川さん、
いつもと違ってなんか可愛…っ⁈」
え…?
「あ…いえ‼︎なんでもないです‼︎」
「えー⁈なになに⁈気になるー‼︎」
「ほんとになんでもないですってば‼︎」
「ほんとに〜?」
彼女は、たしかにオレのコトを
”可愛い”…そう言いかけた。
わかっているけど、敢えて彼女には言わない。
男に”可愛い”もどうかと思うけど、
オレは嬉しかった。
女のコの言う”可愛い”は褒め言葉だと思うから。
彼女のことばに少し自信を持って、
オレは彼女の顔を覗き込んだ。
「なんて思ったの?教えてよ♪」
「あ…あの…だから…っ‼︎」
クールビューティな彼女が真っ赤になるのは、
ほんとに可愛い。
「正直に言っていいんだよ?」
「…っ⁈だ…だから、何も…‼︎」
ピンポンピンポンピンポーーン‼︎
「…っ⁉︎い…岩泉さん‼︎」
彼女は、慌ててオレから離れ、
玄関へ走って行ってしまう。
さすが、岩ちゃん…バッドタイミングだよ…
「こんにちは〜!」
檜原さんが玄関を開けたらしく、
ひろちゃんたちの賑やかな声が聞こえてきた。
「すみれちゃん、この間はありがとね。
ほら、春人、挨拶して!すーちゃんよ。」