第45章 -運命-(及川徹)[後編]
「天気良くてよかったよね〜。
やっぱ、及川さん晴れ男だな〜♪」
「雨だったら中止だったんですか?」
それなら雨のほうがよかった。
「そーじゃなくてー‼︎も〜‼︎」
及川さんは手を繋いだまま、
一人で楽しそうだけど、
こっちはそれどころではない。
日曜日の昼間に
及川さんと手を繋いでるとか…わけわかんない‼︎
必要以上に及川さんにそっけなくしてしまう。
「檜原さんて、なんでオレの前だと、
クールビューティしないの?」
「…⁈だから、別に普段から
クールビューティじゃないです‼︎」
キッと及川さんを睨んで文句を言うと、
及川さんはまたクスクス笑っていた。
「だって、そんな顔、黒尾くんにする?」
「…‼︎黒尾くんは関係ないでしょ‼︎
それに、黒尾くんは会社の人だし…」
「好きな人だから?」
「…っ⁈」
及川さんに言われて、ハッとする。
そうだ…わたし…
黒尾くんのコト…好き…だったんだ…
最近、及川さんのコトばっかり考えて…違う‼︎
及川さんのコト考えちゃってたのは、
仕事でも絡むし、今日のコトがあったから…
「…。ま〜た百面相になってるよ(笑)?」
及川さんは笑いながら、
繋いでるほうの手を持ち上げ、
わたしの頬に触れた。
「…かわいっ♪」
「可愛くないです‼︎」
及川さんの言う”クールビューティ”は
よくわからないけど、
こんなに拗ねたり怒ったり文句言ったり…
及川さんの前でだけ、
こんなになっちゃってるんだから‼︎
「可愛いのになぁ♪あ、ココだよ。
ソースとかはあっちかな…」
気がついたら、スーパーに着いていて、
目当てのたこ焼きソースをゲットし、
レジに向かおうとすると、
お菓子コーナーで及川さんが立ち止まる。
「あ‼︎このラムネ、美味しいんだよね〜。」
「ラムネ⁈」
及川さんがラムネって…なんか…
「あー‼︎今、笑ったでしょ?」
「笑ってません‼︎」
「ヒドイなぁ!コレ、美味しいんだよ!
甥っ子も好きだし、絶対春人くんも好きだよ!」
「えー?でも、春人くん、お煎餅好きですよ?」
わたしはいろんな種類が入っている
一口サイズのお煎餅セットを手に取った。
「じゃ、どっちが春人くんが
気に入ってくれるか、勝負しよー☆」