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〜Lemon Candy Story〜

第44章 -運命-(及川徹)[中編]


「……ほんとにすみません。
あの…重かった…ですよね?」


「ぜーんぜん♪とりあえず、
シャワー浴びて今日は寝たら?
明日も仕事なんだから。」


気にしている彼女を
バスルームに連れて行き、
着替えとバスタオルを渡す。


「ゆっくり入ってきなよ。」


「は…い…」


笑顔で手を振りながら、
オレはリビングへ戻った。


”どうやってココに来たのか”


彼女はそう聞いた。


だから、オレは嘘はついていない。
連れてきた方法は、おんぶとタクシーだ。


でも…


*---

姉さんからの電話が終わって席に戻った時、
カクンカクンとしている彼女に迎えられた。

『及川…さんっ‼︎ふぁ…おかえり…なさ〜い』

『…っ⁈』

さっきまでと打って変わって、
眠そうなトロンとした瞳で
オレを見つめた彼女は、
オレが戻ったのを確認すると、
そのままカウンターに突っ伏して
眠ってしまった。

オレと視線を合わす時は
大抵キッと睨みつける時だったのに…。

男に守られるタイプには見えない…
そう見せていない
堅い鎧でも纏っているかのような彼女が、
お酒で眠った無防備な姿は、
ほんとに可愛らしくて、
守ってあげたくなった。

『わりぃ。酔い冷めてたみたいだったし、
おまえのワインちょっと飲んでも
強く止めなかったんだけど…
ここまで弱いとは思わなかったわ。』

まっつんが珍しく申し訳なさそうにしている。

『あんま強くはないらしいんだけど、
ココ来る前に接待で日本酒飲んでたからね。』

たぶんウチとの仕事も急だったんだろうし、
あまり寝ていなかったのかもしれない。

『…仕事関係の人かよ?』

『そうだけど?なんで?』

『おまえが女連れてくんの珍しいから。』

………。

『たまたま接待の店が近かっただけだよ。
知り合いに連絡して家聞いて送ってくよ。』

支払いを済ませ、彼女を背中におぶって、
まっつんに余計な詮索される前に店を出て、
オレはすぐにタクシーを拾い、
彼女をウチに連れてきた。

---*


………オレは誰にも連絡をしていない。









「お…及川さんっ‼︎」



まっつんの店でのコトを思い出していると、
シャワーを終えた彼女が…
スッピンを見せたくないはずの彼女が、
バスルームからオレを呼んだ。





やっぱり♪♪



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