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〜Lemon Candy Story〜

第43章 -運命-(及川徹)[前編]


「オレも地下鉄。
じゃ、黒尾くんだけ逆方向だね。」


及川さんと一緒…かぁ…。


「黒尾くん、気をつけてね。」


「いや、それは檜原さんでしょ。
及川さん、今日はありがとうございました。」


「こちらこそ〜♪じゃあね♪」


黒尾くんとはそこで別れ、
さっきのように及川さんと二人で歩いた。


……。


どうしよう…無言は気まずい…。
でも、さっきの発言もちょっと腹立つし、
何よりお酒で頭がほわ〜ってなってて、
あんまり思考回路が働かない。


「大丈夫?酔ってるの?」


「酔ってな〜いです♪
あんまりお酒強くはないので、
すぐ顔に出ちゃうだけなんです。」


無言は気まずいと思っていたら、
及川さんから話し掛けてくれたので、
わたしは笑いながら答えた。


「気持ち悪くないの?」


「はい。ぜーんぜん♪
むしろ、ほわ〜って気持ちいいです♪」


「ふぅん…”酔っちゃった〜♡”って言って
素直に甘えればいいのに。」


…っ⁈


「だ…から‼︎酔ってないですってば‼︎」


及川さんのことばにカチンときて、
思わず大きな声で言い返してしまう。


「じゃあ、一杯付き合ってくれない?」


「え…?」


それって二人で飲むってコト…?


及川さんと二人きりだと調子狂うもん‼︎
それに、あんな嫌味ばっかり…。
一緒に飲んでも楽しくないよ。


「イヤです‼︎」


ハッキリ断ったのに、
及川さんはまったく怯まなかった。


「さっきのタクシー代…」


「え?」


「貸し借りキライなんでしょ?
一杯奢ってよ。」


「…‼︎」


怯むどころか、
一番断りにくい誘い方をしてきた。


「わかりましたっ‼︎何でも奢りますよ‼︎」


そんな言い方されたら断れない。
わたしの返事を聞いた及川さんは、
駅に向かう道から外れ、
小さなワインバーに入った。


ワインかぁ…重いなぁ…
まぁ、一杯頼んでチビチビ飲むふりしよ…


カウンターに案内され、
及川さんと並んで座ると、
及川さんはメニューも見ずに注文をした。


「シャトー・パルメの赤と
オレンジジュースを。」


…⁈オレンジジュース⁈


「ズルイ‼︎飲まないんですか⁈」


人にはよくわかんないワイン頼んだくせに‼︎


「あのねぇ…」


及川さんは呆れてわたしを見ている。


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