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〜Lemon Candy Story〜

第43章 -運命-(及川徹)[前編]


それから、黒尾くんや上司たちも来て、
美味しいお料理はもちろん、
岩泉さんとひろみさんがサービスしてくれて、
上司たちも大満足で接待は無事に終わった。


「お疲れさまでした〜‼︎」


岩泉さんとひろみさんには
もちろん挨拶してから、
まだ飲みたいオーラを出す上司たちを
半強制的にタクシーに押し込んだ。


「ふぅ…お疲れさまでした。」


あ…。二人に向かって言ったけど、
及川さんも接待相手だ。


岩泉さんじゃないけど、すっかり忘れてた…。


「及川さんもタクシー拾いますね。
こっち方面から止めて大丈夫ですか?」


「いや、近いから大丈夫。」


わたしがタクシーを止めようとすると、
及川さんにすぐに制止された。


「…じゃあ、帰りますか〜?…‼︎」


「…っと‼︎危ねっ‼︎
檜原さん、大丈夫ですか?」


歩き出そうとしたら、
何もないところでよろけてしまい、
黒尾くんが支えてくれる。


「大丈夫ですか?オレ、水買ってきますよ。」


「だいじょ…」


”大丈夫だってば”と言う前に、
黒尾くんは自販機の方へ行ってしまった。


たしかにいつもよりほわ〜ってするけど、
気持ち悪いわけでもないのに…。


黒尾くんが行ってしまうと、
必然的に及川さんと二人きりになってしまう。


「すみません…。
あの、先に帰って大丈夫ですよ?」


わたしのせいで動けず、
及川さんまで付き合わせてしまっている。
さすがにそれは申し訳ない…


「ムリしなくていいよ。それとも、
黒尾くんと二人きりになりたかった?」


「…っ‼︎そんなコト言ってません‼︎最低っ‼︎」


「檜原さん…?」


わたしがもっと怒鳴ろうとすると、
黒尾くんが戻ってきたので、
わたしは慌てて黙った。


「大丈夫っすか?
いつもより飲んでましたよね?」


そう言いながら、黒尾くんはお水をくれた。


「ありがと。大丈夫よ。
日本酒が美味しかったから、
つい注がれるまま飲んじゃった。
いつもよりも赤くなってるだけ〜♪」


「…。」


黒尾くんが戻ってきてから、
なぜか及川さんは一言も発しなかった。


「もう大丈夫‼︎帰ろっか。
黒尾くん、JRだよね?
わたし、地下鉄だから逆かな。」


一応、及川さんにも聞かないと…だよね。


「及川さんは何線ですか?」

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