• テキストサイズ

〜Lemon Candy Story〜

第43章 -運命-(及川徹)[前編]


打ち合わせは無事に終わったのだけど、
上司たちは青西建設の別部署の方に呼ばれ、
現地集合になってしまい、
黒尾くんと及川さんと3人で
先にお店に向かうコトになった。



ちょっと微妙なメンバーだな…


ウチの会社とはえらい違いの
高層ビルに入っている青西建設の
エレベーターに3人で乗り込む。


「うわ〜!キレイ!」


エレベーターはガラス張りになっていて、
窓から見える景色はなかなかの絶景で、
わたしは思わず声に出してしまった。


「ウチの会社じゃ
こんなん見えないっすからね。」


黒尾くんも横に来て、
一緒に景色を眺めている。


って、ヤバ…2人だけじゃないんだった。


慌ててわたしは窓に背を向け、
チラリと及川さんを見ると、
及川さんはなぜだか少し淋しそうだった。




ポーン♪



エレベーターを降りても、
及川さんは何も喋らなかったので、
沈黙するのも気まずいし、
わたしは黒尾くんをイジっていた。


「黒尾くんの彼女、
ほんとにいなかったの?」


「えぇ⁈あ、いや、だから〜…」


「こっそり2ショット撮って、
夜久くんに見せようと思ったのにな♪
黒尾くんのデレ〜ッとしてる顔〜♪」


「檜原さ〜ん‼︎」


あたふたする黒尾くんはちょっと可愛い。

そういえば、黒尾くんにとって、
及川さんは恋敵だ…。
黒尾くんは知ってるのかな…。


及川さんには申し訳ないけど、
これくらい黒尾くんをからかって、
平気なふりしてなきゃ、
わたしが意識しすぎちゃう…


黒尾くんはただの後輩…
最近彼女ができたからかいがいのある後輩…


「……‼︎檜原さん…」


「はい!」


わたしと黒尾くんがふざけて喋っていると、
突然逆サイドから名前を呼ばれた。


もちろん、それは及川さんで…


「どうしても今日渡しておきたい
資料あったの思い出しちゃったので、
一緒に来てもらってもいいですか?」


及川さんは、満面の笑みで、
わたしにいったん戻るように促した。


「あ、黒尾くんは先に行っててくれる?」


「え?あぁ…」


及川さんは黒尾くんにも指示をする。


わたしと黒尾くんはキョトンとしてしまったが、
及川さんに従い、黒尾くんは正面入口へ、
わたしは及川さんとエレベーターに向かった…




はずだった。


/ 579ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp