第43章 -運命-(及川徹)[前編]
「花巻さん‼︎一ノ瀬さん‼︎」
ウェルカムドリンクを飲んでいると、
目のクリッとした人が
マッキーに声を掛けてきた。
2人を知っているというコトは、
恐らくこの人が夜久さんなのだろう。
「夜久さん‼︎今日はありがとうございます!」
あずみが嬉しそうに挨拶すると、
マッキーも挨拶をした。
「一ノ瀬の分まですみません。
ほんとにありがとうございます。」
「いえいえ♪黒尾、驚かせたかったし!」
夜久さん…余計なコトしないでよ‼︎
「あ、すみません。初めまして…ですよね?」
マッキーと話していた夜久さんが、
パッとオレのほうを向いて話し掛けてきた。
「はい。花巻や一ノ瀬がお世話になってます。
営業第1課の…」
「及川さん…ですよね?夜久です。」
オレが仕事モードで挨拶しようとすると、
夜久さんは、オレの名前を言い当てた。
「なんで?」
「いや、及川さん、ウチで有名人だから。
及川さんがウチに来るたんびに、
女性社員が目の色変えて喜んでますよ。」
「いやいや〜♪」
ま、そんなの知ってるけど♪
「夜久さん、ダメですよ!
あんまコイツ調子に乗せないでください。」
「マッキー、自分が言われないからって、
僻まないでよー?」
「バカ‼︎僻んでねぇよ!」
「なんかクロに似てるな(笑)
一ノ瀬さん、黒尾、今あっちに…黒尾〜‼︎」
夜久さん、余計なコトしないでよ…。
夜久さんに呼ばれた黒尾くんは、
こっちに来てしまった。
「あずみ⁈なんで⁈」
「オレが招待した♪
あ、この方が花巻さん!一ノ瀬さんの上司。」
「花巻です。一ノ瀬が色々お世話になって…」
「黒尾です。こちらこそ…一ノ瀬さんには…」
マッキーと黒尾くんの真ん中で、
あずみは真っ赤になって固まっているので、
オレはあずみを引っ張り出して、
2人に声を掛けた。
「もう‼︎2人とも!
父親と娘の彼氏のご対面〜になってるから、
あずみが固まってるじゃない!」
「…‼︎」
「黒尾くん、久しぶり。」
「お久しぶりです。」
そう言うと黒尾くんは、
サッとオレからあずみを引き離した。
当然…か。