第43章 -運命-(及川徹)[前編]
「そーだ‼︎黒尾さんだっけ?
ちゃんと一ノ瀬の彼氏に挨拶しねーとな。」
「花巻さん⁈しょ…紹介しないですよ⁈」
「なんでだよ?及川とも仕事してんだろ?
黒尾さん、夜久さんの同期らしいしさ。」
お店に向かいながら、
マッキーもあずみもずっと話していた。
まぁ、1人で行くよりは、
この2人と行ったほうがいいか。
離れたトコであずみを見るのも実は辛いし。
そんなくだらない話をしていたら、
あっという間に店に着く。
「すっげぇな!」
「はい‼︎白で統一されていて、
並んでるケーキやお菓子が輝いてる!」
「ほら、2人とも!受付して。」
受付に並んだからには、もう仕事モード。
お菓子やコーヒーに目がない2人を
受付に促して、オレが引っ張ると、
受付のキレイなお姉さんが声を掛けてくれた。
あ、ちょっと好み♪
「お渡ししている招待状と
名刺をいただけますか?」
オレはすぐに名刺と招待状を渡した。
「青西建設の及川様ですね。
本日はありがとうございます。
左手の入口からお入りください。
ウェルカムドリンクがございますので。」
「キミは?」
「え…?」
「オレもお姉さんの名刺が欲しいな♪」
「…お渡しする名刺はありません。」
そういうの通じないタイプか〜!
露骨に嫌そうにオレを見ている。
「クソ川!何してんだよ?」
「ほんとすみません、この人…」
いつのまにかマッキーとあずみが、
オレのフォロー?で、謝っていて、
2人も招待状と名刺をお姉さんに渡した。
「青西建設の花巻様、一ノ瀬…様?」
「はい。何か…?」
あずみはキョトンとして、
お姉さんを見つめた。
「いえ、花巻様、一ノ瀬様、
本日はありがとうございます。」
この人…明らかにあずみに反応した…
あずみとマッキーが行ってからも、
ずっとあずみの後ろ姿を見てるし。
仕事というより、”女”の表情で…。
「…‼︎何か…?」
オレの視線に気付いたお姉さんはハッとして、
慌てて仕事モードになっていた。
「いや。やっぱり名前聞きたいなと思って。
気が向いたら後で教えてよ?」
オレは彼女の肩をポンと叩いてから、
マッキーたちを追い掛けた。