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〜Lemon Candy Story〜

第42章 -運命-(黒尾鉄朗)


-すみれside-


月曜日の夜、
黒尾さんと初めて電話で喋って…
それがすごくすごく楽しくて。


土曜日もほんとに楽しみで。


金曜日に残業して、次の日、
最悪のコンディションで
黒尾さんに会うのは嫌なので、
わたしは火曜日から仕事のペースを上げて
毎日残業をしていた。


今日は木曜日。
明日は早めに上がれそうだな♪


そう思いながら、残業を終え、
今日も人が少なくなったフロアを出ると、
エレベーターホールに及川さんの姿があった。


「及川さん‼︎お疲れさまです。」


あのエレベーターでのコトがあってから、
及川さんはいつも通りだったけど、
部が違うと会わない時は会わないから、
及川さんと面と向かって話すのは、
実は久しぶりだった。


「すみれ!お疲れ。
最近また遅いんじゃない?忙しいの?」


「明日、残業したくなくて、
今週はちょっとペースあげて仕事してて…」


よかった。及川さんと普通に話せてる。
やっぱりあの時及川さんふざけてたんだ…。


「…デート?」


「え⁈な…⁈あ…‼︎デートじゃ…」




ポーン♪



「ほ、ほら‼︎エレベーターきましたよ‼︎」


今日はわたしが先に乗り込み、
エレベーターのドアを開けていられた。


エレベーターきてくれてよかったぁ…。
そんなに顔に出てるのかな。
及川さん、鋭すぎるよ‼︎


「今日は曇ってるから
”ご褒美”よく見えないですね。」


エレベーターに乗ると、
いつもはおしゃべりな及川さんが
今日は黙っていたので、
わたしは窓の外を眺めながら声を掛けた。


「すみれ…」


「はい。」


…⁈


及川さんに呼ばれて振り向くと、
そのまま抱き寄せられ、
及川さんにギュッと抱き締められた。


「及川さん⁈」


「”ご褒美”ないから…すみれが癒してよ…」


「及川さんっ‼︎またふざけて…」


「ふざけてないよ…」


ずっと及川さんの顔は見れずにいたのだけど、
突然クイッと顔を上に向かせられ、
わたしの視界に及川さんの顔が現れた。


真剣で苦しそうな及川さんは、
そのままわたしに顔を寄せてくる。


「おいか…⁈」



ポーン♪



その瞬間、エレベーターが1階に着き、
わたしは及川さんから離れ、
エレベーターから駆け出した。

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