第42章 -運命-(黒尾鉄朗)
-すみれside-
〜〜〜〜〜♪
「うわ…⁈」
持っていたスマホが大きな音を鳴らし、
わたしに着信を告げた。
さっきからずっとニマニマして、
ベッドの上で、
黒尾さんとのやりとりを眺めていたら、
突然画面が切り替わり、着信画面に…。
着信の相手は黒尾さんだった。
ウソ⁈どうしよう⁈
どうしよう⁈と思ったのは、嬉しすぎて…。
わたしは慌てて飛び起きて、
テレビ電話じゃないのに、
髪を整え、ベッドに座り直して電話に出た。
「も…もしも…」
「両方行かねぇ?」
「え…?」
黒尾さんの一言目は、挨拶ではなく、
これまでのやりとりのつづきからだった。
「ネコとハリネズミの間、
やっぱ、わかんねぇからさ…」
そ…それって、
一緒に行くってコト…だよね?
「い…行きます‼︎行きたいです‼︎」
「じゃ、けって〜い♪
ごめんな、急に電話にしちゃって。」
「いえ。嬉しかったです。」
「え…⁈」
「あ…いえ‼︎その…
ネ…ネコカフェも気になってたし‼︎
全部行きたかったので‼︎」
は…恥ずかしいっ…
電話だからって”嬉しい”とか…
でも、電話だから、
真っ赤になってるのが、
黒尾さんにバレなくてよかった…。
「オレも…」
「え…?」
今度はわたしが聞き返す番だった。
「オレも嬉しかった。」
「…っ⁈⁈」
「檜原さんが”行きたい”って言ってくれて。」
「黒尾さん…」
ドキンッ…
黒尾さんといるといつもそう。
今は電話なのに、
いつもドキンッドキンッて、
胸の音が大きくなる。
わ…わたしも…言ってもいいのかな…。
「わたしも…嬉しかったです…
黒尾さんが”両方行こう”って言ってくれて。」
さっきは恥ずかしくて
少し誤魔化してしまったけど、
わたしも勇気を出して、本心を伝えた。
「…‼︎‼︎あぁ。なら、よかった。」
ダメだ…
電話越しに聞こえる黒尾さんの声が、
くすぐったい…。