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〜Lemon Candy Story〜

第42章 -運命-(黒尾鉄朗)


打ち合わせの資料を持ったままなので、
檜原さんをそのまま受付で待たせ、
オレはいったんデスクに戻ると、
さっき慌てて戻ったはずのやっくんが、
普通にパソコンに向かって仕事をしている。


「あれ?やっくん、出るんじゃなかったの?」


「そんなこと言ってねーよ?
”行かなきゃ”って言っただけー♪」


「ふぅん。」


なんか含みのある言い方だけど…
今はそんなの後回しだ。


「オレ、先に飯行ってくる。」


「なぁ?檜原さんて可愛いな♪」


「は⁈」


資料を片付けて、
早く檜原さんの元へ行こうとしたが、
やっくんのことばに思わず立ち止まってしまう。


「檜原さんて、
今年から花巻さんの下についたらしくて、
電話ではよく話しててさ。」


たしかにやっくんは
前から青西建設と仕事してたけど、
オレより先にやっくんは
檜原さんを知ってたわけか。


仕事の話なのに、なんかやっぱりモヤモヤする。


「その時から感じのいい人だなぁって
思ってたんだけど、今日会ったら、
イメージ通りっつぅか…な!クロ…♪」


「……なんだよ?」


やっくんがニヤニヤ顔でオレを見てくる。


「檜原さん、今フリーだぞ♪」


「…っ⁈なんで知ってんだよ?
つぅか、それ、今オレに言うコト?」


やっくんのことばに
思いっきり胸が高鳴ったけど、
オレはそれを必死で隠してやっくんと話した。


「檜原さんと会ったのは
今日初めてだけど、電話歴は長いから(笑)
早く行ってこいよ。待たせてんだろ?」


やべ…っ‼︎


「やっくんて…お母さんみてぇ。」


「バーカ!」


サンキュな…と心の中で呟き、
オレは檜原さんの元へ向かった。


「すみません。お待たせしました。」


「いえ。お仕事大丈夫なんですか?」


檜原さんと肩を並べて会社を出て、
さて、どこに行くか…と考える。


「あぁ。平気平気♪
檜原さん、嫌いなものある?」


「いえ、特には…」


「じゃ、おっしゃれ〜なパスタランチと
隠れ家和食ランチならどっちがいい?」


「…っ‼︎どっちも捨てがたいなぁ。
わたしが決めていいんですか?」


そう言って真剣に悩む檜原さんは、
めちゃくちゃ可愛かった。

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