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〜Lemon Candy Story〜

第42章 -運命-(黒尾鉄朗)


-黒尾side-


檜原さんと運命的に(オレ的に)
せっかく再会したのに、あの日以来、
青西建設での商談はパタリとなくなり、
逆に及川さんがウチの会社に来るようになった。


偶然か必然か…。


いや、違うな。
偶然か…故意…か…。


私情は挟まねぇんじゃなかったのか⁈


まぁ、たしかにあの日の商談以降は、
青西建設で打ち合わせするよりも、
ウチで打ち合わせするほうが効率がいい。


頭ではそれはわかっていた。


でも、あまりにもタイミングが良すぎる。


今までは、
『外出メンドくさいから、黒尾くん来てよ♪』
って、調子よく言ってたくせに…
タイミング良し男かよ⁈


さすが曲者及川さん…てトコだけど、
感心してる場合じゃねぇな。


あの時の及川さんの反応…
去り際のことば…
感情のない絶対零度の笑み…


バカでもわかる。


いや…たぶん当の本人だけは
わかってないんだろうな。
だから、及川さんも…。



どうやらオレは少々手強い相手に
運命を感じているらしい。



でも、運命を感じていようがなんだろうが、
会わないコトには始まらない。


向こうは常に一緒にいられるのに、
こっちはやっと名前を知った程度の関係。


連絡先すら知らない。


名刺に会社のアドレスは書いてあったが、
さすがに個人的な連絡をするのは気が引ける。


さて…どうすっかな…


と思い悩んでいたが、
またしても運命がオレの味方をしてくれた。




なかなか青西建設に行けなかったのだが、
オレじゃなくて檜原さんが、
NEKOMAデザインに来たのだ。



檜原さんと再会してから、数週間後…
打ち合わせが終わって、
デスクに戻ろうと受付前に差し掛かった時、
同期のやっくんの
いつもより楽しそうな声が
やたら耳に入ってきた。


「花巻さんによろしくお伝えください。
貸し1ですよ…って。」


「はい!貸し10くらいでもいいと思います!
花巻がムリ言ってほんとにすみません。」


…⁉︎


そして、聞き覚えのあるもう一人の声…


「…檜原さん?」


オレは足早に受付まで行き、
思わず声を掛けた。


「黒尾さんっ⁈」


やっくんが話していた相手は、
紛れもなく、
オレが会いたかった檜原さんだった。

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