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〜Lemon Candy Story〜

第41章 -教師-(赤葦京治)


「あかーし先生、すーちゃん可愛くて
固まってるんでしょー?」


「あかーし先生、かっわい〜(笑)」


ホンモノの女子高生…
生徒は楽しそうに笑ってるけど、
ニセモノの女子高生…
わたしはまったく持って笑えない。


てゆぅか、赤葦先生は、
わたしが可愛くて固まってるんじゃなくて、
ドン引きしてるんだってーーー。


「はぁ…。
とりあえず、キミらは教室に戻りなさい。
まだ準備も途中だろ?」


「えー⁈
てゆぅか、あかーし先生も制服着てよー?
男子の持ってきたんだから。はい♪」


「…どういうことだ?」


赤葦先生は制服を手渡され、
明らかに戸惑っていた。


「ウチのクラス、コスプレ喫茶だよ?
赤葦先生とすみれ先生は、
制服着てコスプレするって決まったじゃん!」


「あ…あれは却下したでしょう?」


思わずわたしは口を挟んでしまう。


クラスの出し物を決めた時に、
たしかにそんな話が出て、
生徒たちは盛り上がっていたけど、
わたしはもちろん、
赤葦先生だって了承していない。


「でも、文化祭実行委員の3年生たちが
ぜひ‼︎って言ってくれたんで♪」


「な…⁈」


「はぁ…。
とにかく…キミらは教室に戻りなさい。
それから‼︎檜原先生は話があります。」


わたしが彼女たちのことばに
何も言えないでいると、
赤葦先生の空気を変えることば…。


ことばというより…声色が変わった。


「はーーい。」


「でも、明日は赤葦先生も着てねー?」


彼女たちは最後に念押しはしていたけど、
素直に教室に戻っていった。


数学準備室には、
わたしと赤葦先生の2人だけ…。


赤葦先生は、椅子に座ったまま
黙ってジーッとわたしを見ている。


ど…どうしよう…恥ずかしい…


「あ…あの…すみませんっ‼︎」


赤葦先生の視線に耐えられず、
わたしは頭を下げて謝った。


「…何がですか?」


恐る恐る顔をあげると、
赤葦先生はまだわたしを見つめている。


「あの…その…生徒たちをちゃんと…
指導できていなくて…こんな…」


わたしがしどろもどろ話していると、
赤葦先生はそれを途中で遮った。


「…そうですね。
時には生徒に厳しく接するコトも、
教師として大切なコトです。」


赤葦先生のことばに頭があがらない。

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