第41章 -教師-(赤葦京治)
「すーちゃん、超可愛い♡」
「うんうん‼︎まだ現役でイケるよ〜!」
現役女子高生たちに
おだてられながら手を引かれ、
廊下を走る23歳新社会人のわたし…
「いや‼︎ムリだから‼︎かなりムリあるから‼︎」
必死で抵抗しているけど、
現役女子高生4人の若い力にはかなわない。
どこに向かっているのかわからないけど、
彼女たちはわたしの手を引いて、
どんどん進んでいく。
今日は梟谷高校文化祭前日。
午後は授業はなく、
各クラス文化祭準備に追われているので、
廊下にも生徒はウジャウジャいる。
「すみれ先生っ‼︎かっわい〜い♡」
「すーちゃん、オレの彼女になってー♡」
「おだてても来週の小テストはやるからー‼︎」
「「ちぇっ‼︎」」
ウジャウジャいる生徒たちにからかわれながら
廊下を進んでいたけど、
徐々に生徒たちが減っていく。
文化祭では使用しない
各教科の準備室のあるエリアだから。
…‼︎
4人が向かっている場所に目処がついてきて、
サーっと血の気が引いてきた。
「ねぇ⁈もしかして、赤葦先生のトコに向かってる⁈」
「もっちろん♪」
ガラッ…
「あっかあっしせーんせっ♪」
「ちょっ…ノックして”失礼します”でしょ?」
こんな時に何冷静に注意してるんだ⁈わたしは…。
彼女たちが勝手にドアを開けて入ったのは、
数学準備室。
赤葦先生が不在ですようにっ‼︎
そんな願いを心の中で唱えながら、
中を見ないようにしてしまう。
「はぁ…。
ノックして挨拶してからだろ?
他の先生の部屋でも
そんなコトしてないだろうな?」
でも、部屋の奥から赤葦先生の声が聞こえ、
わたしの願いが叶わなかったコトを知る。
絶対怒られる…
怒られるよりも、恥ずかしすぎるっ‼︎
「そんなこと言っていーのー?
せーっかく超可愛いすーちゃん
連れてきてあげたのにー♪」
「そーだよー♪
赤葦先生、絶対喜ぶ〜♪見て見てー!」
「ちょっ…ダメ‼︎」
ダメと言っても聞いてもらえず、
わたしはあっという間に赤葦先生の
目の前に引っ張られてしまった。
「…檜原先生⁈」
赤葦先生は今まで見たコトないくらい
固まっていた。
梟谷の制服を着たわたしを見て…