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〜Lemon Candy Story〜

第40章 -紳士-(黒尾鉄朗)


-すみれside-


「ん…」


暖かい布団の温もりが心地良くて、
ゆっくり夢の中から
意識が現実に戻ってきているけど、
まだ目は開けたくない。


現実は見たくない。


だって…


「頭いたーーい‼︎」


「んぁ…うっせぇ…」


え…?うっせぇ…?


まだ…夢?頭痛からの幻聴?


「ん…?あぁ…」


心地良い布団の中で、
痛い頭に鞭を打って目を開ける。


…⁈


目を開けると見たコトのない男のコが
目の前で眠っていて、よくよく気づいたら、
わたしはその男のコに抱き締められている。


「きゃぁぁぁぁっ‼︎」


慌ててベッドから起き上がり、
胸元まで布団を引っ張って、
恐る恐る男のコを見た。


「だぁぁっ‼︎うっせぇ…」


だ…れ…?


眠そうな目でわたしをジッと見る
少し目つきの悪い男のコ…



あれ…?このコ…どこかで…



…‼︎



「黒尾くん⁈」


ウソ⁈なんで…⁉︎


昨日はたしか…友だちと飲んで帰って…


「あの…わたし…黒尾くんをウチに…
連れ込んだのでしょうか?」


「はぁ⁈…なんも覚えてねぇの?」


わたしは恥ずかしすぎて、コクンと頷いた。


「はぁ…まず、ココはオレんち。」


「えっ⁈」


わたしは部屋をグルリと見回した。


「ウチじゃ…ない…」


「当たり前ー。
でも、どっかの誰かさんは、
”カーテンがウチのだ”って言って、
自分ちだって言い張ってたけどな。」


…っ⁈


黒尾くんのことばに、
わたしは黒尾くんの部屋のカーテンを見る。


うん…ウチもコレ…だけど…


黒尾くんはベッドに横になったまま、
昨日のコトを話してくれた。


夜中に黒尾くんの家のドアを
ドンドンガチャガチャした挙句、
ピンポンしまくって、家にあがりこみ、
自分ちだと言い張って、
わたしがベッドに寝てしまった…と。



「ご…ごめんなさいっ‼︎」


わたしはベッドの上で、頭を下げた。


「ほ…ほんとにごめんなさいっ‼︎」


「いや…ふぁぁ…別にいいっすけど…」


黒尾くんは欠伸をしながら、
ほんとに気にしてなさそうに言ってくれ、
わたしは少しだけホッとして
頭をあげたのだけど…


「オレ得な夜だったしー♡」


「…っ⁉︎」



黒尾くんのことばで
頭が真っ白になってしまった。


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