第39章 -宣言-(大将優)
「てゆぅか、わたし、
優への本命チョコ持ってるなんて、
言ってないのにー。」
「んなの、バレバレだって…。」
「えっ⁈」
黒尾くんのことばにハッと顔をあげてしまう。
「すみれちゃん、わかりやすいもん。
ずっと前から知ってたけど?」
「…っ⁈そんな…なんか恥ずかしいなぁ。
で、でも、別にそんなすごい本気とかじゃ…」
一生懸命明るく言ったのに、
黒尾くんはいつものふざけた感じじゃなくて、
真剣な表情でわたしを見ていた。
「黒尾くん?あの、そんな気にしないで?
わたし、全然平気だし‼︎」
黒尾くんはジッとわたしを見て、
まだ黙ったままだった。
「黒尾…くん…?」
「なぁ?チョコ、持ってんだろ?」
「う…ん…」
告白…しようかな…って思ってたけど、
それももうムリだし…捨てよう…かな。
「それ、オレにくんない?」
「えっ⁈でも…」
「どうせ、捨てる気なんだろ?」
「なんで⁈」
なんでさっきから、黒尾くんは、
なんでもわかっちゃうんだろう…
「だったら、もったいねーじゃん?
さっき大将にはあぁ言ったけど、
オレもさっきすみれちゃんがくれたやつしか
もらってねーの。
だから、すみれちゃんがオレにくれたら、
1対1で大将とも引き分けじゃん?な?」
でも、このチョコは…
優のコトを想って作ったチョコだし…
「別にオレへのチョコじゃなかったのなんて、
気にしねぇからさ。」
「…っ‼︎」
ほんとに次から次へと…
なんでこんなにわたしの気持ち…
お見通しなのかな…
「そんな大したモノじゃないよ?」
捨てちゃうくらいなら…
黒尾くんに食べてもらったほうがいいかな。
わたしはバッグからチョコを出した。
昨日作ったチョコレートトリュフ。
前に作って優が美味しいって言ってくれたやつ。
「すみれちゃんからもらえるだけで、
オレにはすんげぇ意味があるから。」
「え…?」
わたしが聞き返す前に、
黒尾くんが手を伸ばしたので、
わたしは黒尾くんに、
チョコの包みを差し出した。
「くーろーおーーっ‼︎」
でも、その瞬間、
ものすごい大きな声で駆け寄ってきたのは…
優だった。