第39章 -宣言-(大将優)
1週間なんてあっという間で、
バレンタイン当日。
今日は音駒に行って、
音駒と練習試合だった。
練習試合は2ゲームやって、
1-1で引き分けだったのだけど、
練習試合が終わっても、
この2人の言い争いは続いていた。
「は〜⁈おまえなんかが
チョコもらえんのかよ〜?」
「は〜⁈
オレのモテっぷり知らねーの⁈
もうチョコもらいまくりだっつーの‼︎
おまえ、いくつもらったんだよ?」
優と低次元な言い争いをしているのは、
もちろん音駒バレー部主将の黒尾くん…。
もう皆この状況に慣れすぎていて、
誰も言い争いを止めようとしない。
「…っ⁈」
片付けも終わらないし、
そろそろ止めようかな…
と思っていたのに、
黒尾くんのことばに
思わず耳を傾けてしまった。
優…チョコもらったの…かな…
でも、優は黙ってしまって、
何も言わない。
「おまえがもらえんのは、
すみれちゃんがくれるやつだろー?
しかも、バレー部皆にくれるやつ!
それはカウント無しだからな〜?」
「…っ‼︎オ…オレは…」
「はいはい…そこまでーー‼︎」
知りたいけど、やっぱり知るのは怖い‼︎
わたしは2人の間に入り、
言い争いを止めた。
「優は今年は好きなコの
本命チョコしかもらわないんだって。」
「…っ⁈すみれ‼︎うるさいぞ‼︎」
「は⁈マジ⁈すげーじゃん‼︎」
「だからってわけじゃないけど、
音駒の皆にもクッキー作ったの。
優がいらないって言うから、
予算余ったからさ(笑)」
音駒の皆さんには
いつもお世話に(特に優の相手)なってるし、
ちょっとだけど、クッキーを焼いてきた。
「マジかー⁈サンキュー。
トラが泣いて喜ぶわ。
やっぱ女子マネいるといいよなぁ。
すみれちゃん、ウチこねぇ?」
たしかにかなり離れたトコで、
トラくんが涙を流していた。
大げさだなぁ…(笑)
「あはは♪ありがと!
ほら、あげるから、
さっさと片付けしよ?」
でも、そんなトラくんや、
黒尾くんに和ませられる。
優は今日…本命のコと両想いになるのかな…
付き合うコトになるのかな…
本当は、優にあげる
バレー部用のチョコも…
毎年あげていた本命チョコも…
ちゃんと用意してある。
でも、渡す自信がないよ…。