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〜Lemon Candy Story〜

第38章 -月夜-(月島明光)


奥の部屋は普通の個室というか、
ソファとローテーブルがある
リビングみたいな小さな部屋だった。


ドアは閉めたけど、
月島さんはわたしの手を握ったまま…


わたしも何を言えばいいのかわからなくて、
暫くそのまま黙っていた。


「ははっ…挑発上手な黒尾クンに
マンマと乗せられちまったな。」


沈黙を破ったのは月島さんだった。
自嘲気味に笑ったあと、
とても優しい目でわたしを見つめてくれる。


「好きだ。」


「え…⁈」


「あ、クロに乗せられて言うわけじゃねーぞ?
はじめからちゃんと
言うつもりだったんだからな?」


月島さんのことばにわたしは固まってしまい、
何も言えなくなってしまう。
月島さんから目をそらさないことだけで
精一杯だった。


「黙ってないでなんとか言えよー?」


「いふゃっ…」


恥ずかしいだろーと言いながら、
月島さんがわたしのほっぺを
ムニュ〜っとしてくる。


「ふゅふぃ…っ…」


「え⁈なんて〜?」


もーう‼︎絶対わざとだーー‼︎


わたしは月島さんから離れ、
ちょっと拗ねながらもう一度言う。


「好きって言ったんですー‼︎」


「…っ⁈」



…ギュッ



「月島…さん?」


好き…と、拗ねながら告げた次の瞬間、
わたしは月島さんに抱き締められていた。


「あ〜よかったぁ‼︎」


「え…⁇」


「めっちゃ緊張してたんだからなぁ。」


月島さんは本当に緊張がほぐれたようで、
月島さんの身体の強張りが解けていくのが
わたしにも伝わってきた。


「あ…あんなに
ドキドキするコトばっかりしてきたのに…?」


わたしはずっと月島さんの胸に
埋めていた顔をそっと上げて、
月島さんを見つめた。


「…っ⁈だって…おまえ、
ちょっかい出すと引くんだもん。」


「ひ…引いてなんか…‼︎
照れてたんですーっ‼︎
月島さん…皆に優しいし…」


「”声忘れた”って言われて悲しくなって
すぐ思い出させたい!会いたい!って
思うのは、おまえだけだけどな?」


「…っ⁈」


月島さんは優しくわたしの頬を撫で、
そのままわたしにキスをした。


「もう声も顔も全部…忘れさせねーから。
な?だから、安心しとけ?」


「…っ‼︎…はい。」


わたしは月島さんの全てを感じたくて、
力一杯月島さんを抱き締めた。

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