第33章 -笑顔-(武田一鉄)
-武田side-
懐かしいな…。
すぅっと深呼吸してから、
ボクは皆を見回して話すことにした。
「初めて彼女…すみれに会った日…
その日は仕事の調べものをしに、
図書館に行ったんです。
ボクは朝から調べものをしていて、
ほぼ丸一日図書館にいました。
夕方、やっとメドがついたので、
少し休憩したくて、気分転換に
仕事と関係ない本を読もうと思って、
気になっていた小説を
探しに行きました。
でも、気になっていた小説は
もう貸出中でなかったのですが、
代わりに学生時代によく読んでいた本を
見つけました。
懐かしくてその本を取ろうとしたら、
いつのまにか同じ本棚を見ていた
女性と手が触れてしまいました。」
「えっ⁈それがすみれさんっ⁈
すげーーっ‼︎」
「日向 、言うな‼︎」
「そうだぞ‼︎これからだ‼︎」
ボクが一息つくと、
興奮した日向くんを
同じく興奮した
田中くんと西谷くんが止めるが、
その2人も十分興奮していたので、
つい笑ってしまう。
「そうです。日向くんの言う通り、
その時手が触れた女性が、
すみれでした。」