第33章 -笑顔-(武田一鉄)
「マジかよ⁈
武ちゃんの彼女、すっげぇ可愛い!」
ひとしきり騒がれてそれが落ち着くと、
さっきの坊主頭のコが
わたしのコトを”可愛い”だなんて
言ってくれる。
最近の高校生っていいコなのね〜♡
「武ちゃんも男だったんだなぁ!」
一鉄さんをからかっていたのは、
すごい独特な髪型の
少し小さな男のコだった。
そんな冷やかしに一鉄さんは
”教師をからかうんじゃない”って
照れながら言うけど、
生徒たちはまた騒ぎ出してしまい、
言ってもまったく効果がない。
「いい加減にしろ!
先生が困ってるだろ!!」
そんな時にそう言ったのは、
しっかりしてそうな生徒の男のコ。
優しそうなのに、
怒った時だけ後ろに黒い影が見えてる⁈
騒いでいたコたちは
ピキッと音が聞こえるように固まり、
やっと大人しくなった。
一鉄さんがその生徒に
お礼を言っていると、
オレンジ頭の小さい男のコに
声を掛けられた。
「よかったら、
試合観てってください!」
「え…?でも…」
「あぁ…彼女さんがよければ
観てってやってくれねぇか?
こいつらも応援多いほうが
テンションあがるし。」
思いがけないお誘いに
わたしがあたふたしていると、
金髪のコーチの人も
嬉しいことばを掛けてくれ、
わたしは思わず一鉄さんのほうを見た。
「すみれ、仕事は大丈夫なの?」
「うん!
今日は夜勤だから大丈夫だよ。」
「夜勤?」
「あぁ。彼女は看護師なんです。」
「「看護師ーー⁈」」
え…?看護師……ダメ?
皆の反応にポカンとしてしまう
わたしだったけど…
「すっげぇ‼︎
武ちゃんの彼女さん、
看護師なのかぁ!」
「男が女の憧れる仕事ベスト3に
入る看護師さんが彼女とは‼︎
武ちゃん、いったい
どうやって出会ったんだよー⁈」
あ…そういうこと?
独特の髪型の男のコと、
坊主頭の男のコは
2人セットなのかしら?
2人が興奮してまくし立てる。
一鉄さんは、アワアワしながら、
先ほどのしっかりした男のコと
烏養さんを見てたけど、
その2人も、
気になる気持ちのほうが
強かったようで、
止めようとはしなかった。
「はぁ…。分かりました。
それじゃあ、今日の試合で、
キミたちが勝ったら話しましょう。
それでいいですか?」