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〜Lemon Candy Story〜

第33章 -笑顔-(武田一鉄)


-すみれside-


「ココが一鉄さんの学校かぁ…」


自分の母校ではないけど、
なんだか自分まで高校生に戻ったような
あの頃の甘酸っぱい記憶が蘇る。


そんな記憶を懐かしみながら、
わたしは守衛さんに聞いた道順を辿り、
一鉄さんのいる体育館へ向かった。


体育館に着くと、
バレー部のコであろう生徒たちが
ネットを張ったり、
パイプ椅子を出したりと、
せわしなく動いていてはいるが、
その中に一鉄さんの姿はない。


中に入るか迷っていると、
ちょうど入口まで生徒が来たので、
わたしは思い切って声を掛けた。


「すみません…
いっ・・・武田先生はいますか?」


”一鉄さん”…そう名前で
言いそうになってしまったのを
慌てて名字で言い直す。


「おわっ⁈あっ‼︎ハイ‼︎
武ちゃんっすか⁈」


坊主頭の男のコが
なぜだか物凄いテンパっていた。


ふふ…一鉄さん、
”武ちゃん”て呼ばれてるんだ…。


「うん。渡したい物があって…」


「あれ?すみれ⁈」


坊主頭の男のコと話していると、
後ろから一鉄さんの声がして、
わたしはすぐに振り向いた。


…っ⁈


が、金髪の怖そうな人が一緒で、
思わずビックリしてしまう。


あ、でも、思い出した‼︎
たしか、一鉄さんが
熱心に誘ったっていう…
コーチの人…よね…烏養…さん?


「一鉄さん‼︎よかったぁ。
はいこれ。
昨日遅くまで頑張って調べてたのに…
資料忘れてたよ?」


昨日の夜、一鉄さんがまとめていた
今日の練習試合の相手校の資料を渡した。


「あれ⁈鞄に入れたと思ってたのに。
ありがとう。助かったよ。」


「せ…先生…⁈
もしかしてその人は・・・」


っと金髪の人がわたしと一鉄さんを
交互に指差して
アワアワしながら聞いてきた。


…っ…な、なんかちょっと…
恥ずかしい…


どうしよう…一鉄さんの職場だし…
よく考えずに来ちゃったけど、
来ないほうがよかったかな。


「はい。ボクの彼女の
檜原すみれさんです。」


…っ⁈
でも、迷うコトなく、
堂々とこたえてくれた一鉄さんに
思わずキュンとしてしまう。


「「えぇぇぇぇ⁈⁈」」


いつのまにか周りに集まっていた
たくさんの生徒たちも含め、
ものすごい反応が返ってきた。

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