第32章 -花火-(黒尾鉄朗)
「目の前にいる。
つぅか、今はオレの腕の中?」
「えっ⁈あ…黒尾くんっ⁈」
「オレ…すみれが好き。」
少しでも気持ちを伝えたくて、
オレは”檜原”と呼ぶのをやめ、
すみれと呼び、ギュッと抱き締めた。
「わ…わたしも…‼︎
わたしも…黒尾くんが…好きですっ!」
「ははっ…だから、敬語…(笑)」
「緊張…しちゃって…」
オレの腕の中で彼女がこたえる。
「緊張⁇もしかして、
話す時オレのコト見ないのって…」
「うん。だ…だって、
好きな人と話すなんて…
あっ‼︎えっと、その…っ‼︎」
あぁ…本当にすみれの反応が
可愛すぎる。
「その”好きな人”は、
もう”彼氏”なんですけどねー?」
「えっ⁈はいっ‼︎あ、うん‼︎」
「くくっ…。なぁ?でもさ…」
「なぁ…に?」
オレの腕の中で、
すみれは顔をあげて、オレを見上げる。
その上目遣いはヤバすぎる…。
「リエーフとは普通に話してたじゃん。
他の奴もまぁまぁ普通に…」
「リエーフくんは‼︎
なんか弟みたいでカワイイし…
そ、そういう対象じゃ…」
なるほどね〜。
「じゃあ、やっくんとかは?」
「そ、それはさっきも言ったけど…
黒尾くんのコトが…あの…その…
す…好きだから…
他の人はそこまで緊張しなくて…」
やべぇ…やっぱ可愛すぎるだろ。
「ゆっくり…緊張ほぐしてこーな。」
オレはもう一度強く
すみれを抱き締めた。
花火がオレたちのコトを
祝福するように
夜空に色とりどりの花を咲かせていた。
---End---