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〜Lemon Candy Story〜

第32章 -花火-(黒尾鉄朗)


「あ…あの…その…手…っ!」


「なに?ダメ?」


オレはわざとさらに指もからめ、
いわゆる恋人つなぎ…をした。


「っ⁈ダ…ダメとかじゃなくて…っ‼︎」


「なぁ?
転ぶのと転ばないのどっちがいい?」


「え…?」


すみれはポカンとして
オレを見上げている。


「だーかーらー!
転ぶのと転ばないの!どっち?」


「こ…転ばないの…」


「じゃ、迷子になるのとならないのは?」


「ならないの…」


「だろ?」


オレはすみれの肩を抱き寄せ、
すみれとさらに距離を縮め、
また恋人つなぎで手を握った。


「あの…それとこれと…?」


「おまえ、バカか?
こうしてれば、転ばないし、
迷子にならないだろ?」


「そ、そんな子どもじゃありませんっ!」


「ふぅん…でも、そ〜んなに
真っ赤になっちゃって、
実は嬉しかったりして〜?」


すみれの顔を覗き込むと、
すみれの頬はさらに赤くなった。


「な…なってませんっ‼︎」


ことばと表情が真逆のすみれ…


コロコロ変わる表情が可愛くて、
すみれから目が離せない。


「ほんとか〜?」


オレはもっとすみれに顔を寄せ、
すみれの顔を覗き込んで、
キス直前まで顔を近づけ、
すみれの表情を確かめる。


「…っ⁈⁈」


そして、手を握ったまま、
すみれを抱き寄せ、
すみれの頭をポンポンとした。


「…っ⁈⁈」


「よし♪
じゃ、いいじゃん♪行くぞ!」


すみれの表情を、
オレはイエスと取り、
そのまますみれの手を引いて
花火の見やすい土手に向かった。



こいつはたぶん…
オレのコト、好きなんじゃねぇか?




そう思っていたけど、
浮かれていたのはむしろオレだった。




そんなことぜってぇ言わねぇけど。




真っ赤になりながらも、
オレの手をはなさず、
ギュッと握り返してきたすみれに
オレの胸も本当はドキドキしていた。

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